低迷するJ1浦和は30日、ミハイロ・ペトロビッチ監督(59)を解任した。優勝候補に挙げられながらも守備崩壊で8位に低迷し、29日の札幌戦でも下位相手に0―2と完敗した。クラブ側は現状のままではチーム再建は不可能と判断し、指揮官の更迭を決めた。後任には堀孝史コーチ(49)が就任し、再スタートするが、名門復活へ向けて“聖域なきチーム改革”に取り組んでいく。

 下降の一途をたどるチーム状況を受け、帰京後にクラブ幹部は緊急会議を開催。ペトロビッチ監督の契約解除と堀コーチの昇格を決定し、この日の練習前に指揮官に通告した。事実上の解任について、浦和の淵田敬三社長(62)は「今の状況を打開するには、新しいチャレンジをしないといけない」と語り、山道守彦強化本部長(54)が「4月下旬の大宮戦以降、失点の多い試合が多くなった。だが改善の兆しが見られなかった。試合内容やもろもろのことを見て判断した」と理由を説明した。

 今季11年ぶりのリーグVを狙った浦和は守備陣が崩壊し、6月以降はリーグ8戦で2勝6敗の8位に低迷。失点数は最下位の新潟に次ぐワースト2位(36失点)と深刻な状態だ。堀新監督は「這い上がれるように選手と一緒にやっていきたい」と浮上に向け、クラブと一丸になりチーム再編に取り組む構えだ。

 まずはGK西川周作(31)やDF森脇良太(31)ら不振のベテランに固執し、マンネリ化を招いたことを反省。リオ五輪代表のMF矢島慎也(23)やドイツ1部ケルンに所属したMF長沢和輝(25)らの起用で活性化を狙う。ある公認選手代理人は「今まで特定の戦力に頼りすぎていたから、鹿島みたいに監督を代えて現状戦力の掘り起こしも図りたいのでは」と指摘する。

 実際に序盤苦しんだ鹿島では5月末に石井正忠監督(50)を解任。大岩剛コーチ(45)を監督に昇格して以降、サブ組や若手を大胆に登用して再建に成功した。浦和のベンチには他クラブなら主力級の選手が多いだけに、11年途中からトップチームを指導して選手を知り尽くす堀新監督のもとで現有戦力の見直しを進めていく。

 同時に、戦力補強にも積極的に取り組む。山道本部長は「(移籍の)ウインドーは8月の真ん中まで。やれる範囲のことは継続してやる」。すでにオーストラリア代表DFトレント・セインズベリー(25=江蘇蘇寧)の獲得を検討中で、他にライバルのJ1鹿島やG大阪のサブ選手もリストアップ。獲得に向けた調査を行っていく方針だ。浦和は、なりふり構わぬ再建策でドロ沼から抜け出し、名門復活を果たせるのか。