リスク覚悟の原点回帰か、それとも“大穴”への期待か。ロシアW杯アジア最終予選の大一番となるオーストラリア戦(8月31日、埼玉)で必勝を期す日本代表だが、勝敗のカギを握るトップ下が手薄な状態。頼みの選手たちの故障でバヒド・ハリルホジッチ監督(65)も頭を痛めている。この難局で攻撃のタクトを振る存在となるのは――。

 今年に入り、日本代表のトップ下は災難続きだ。MF香川真司(28=ドルトムント)が6月7日の親善試合シリア戦で左肩を脱臼し、直後のW杯予選イラク戦(同13日、テヘラン)を欠場。MF清武弘嗣(27=C大阪)も同25日のJ1仙台戦で負傷し、左ハムストリング筋損傷で全治8週間と診断された。

 清武の回復が早まったとしても、オーストラリア戦までにトップコンディションに戻すことはほぼ不可能で、最終予選残りの2戦での招集は絶望的。リハビリ中の香川も新シーズンに向けた調整が大幅に遅れるだけに不安が残る。

 特に清武の離脱はハリルホジッチ監督にとって痛手だ。イラク戦ではコンディションが上がらないため招集を見送ったが、試合前には中盤の駒不足を挙げて「清武も来ていない」と嘆いたほど。代役となるはずだったMF倉田秋(28=G大阪)のパフォーマンスも満足いくものではなく、トップ下の層の薄さは楽観できない状況にある。

 早急に代役を立てる必要に迫られているが、まず浮上するのがFW本田圭佑(31)。シリア戦ではこれまでのサイドではなく、インサイドハーフで起用され、流れを作った。本紙評論家の前園真聖氏(43)が「MF起用なら理解できる」と大幅な戦力アップになると主張するのをはじめ、代表OBからは本田の司令塔起用を熱望する声が上がった。本田も「自らの家」と称する中盤起用に手応えを得ている。

 だが、ACミランとの契約が満了し、現在は浪人中。このまま所属クラブがないようだと代表招集すらされない恐れもある。仮にこの1か月で所属クラブが決まったとしても、新チームに慣れるまで心身の負担も大きい。代表で全幅の信頼を置けるかは疑問だ。

 オーストラリア戦について、技術委員会は欧州組より国内組重視の認識を示している。となれば、MF高萩洋次郎(30=FC東京)やMF中村憲剛(36=川崎)らも候補に挙がるが、ここへきてダークホースとなりつつあるのは、C大阪のMF山村和也(27)だ。

 今季、守備的ポジションからトップ下にコンバートされると一気に才能が開花。攻撃の中心として7得点3アシストの活躍を見せ、途中加入の清武をサイドに追いやったほど。フィジカルにも優れており、すでに代表スタッフも視察済みだ。指揮官の悩みを解決してくれる救世主は誰か。