【前園真聖 ゾノの焦点!】J1は折り返しを過ぎた第18節を終了し、約3週間の夏季中断に入った。前半戦はJ2から昇格したばかりのC大阪が首位に立つ快進撃を見せるなど、波乱の展開。元日本代表MF前園真聖氏(43=本紙評論家)は後半戦の戦いをどう見るのか。低迷が続く浦和の逆襲の可能性や意外なダークホースを挙げ、熱戦の行方を占った。

 1シーズン制に戻った今季前半戦の戦いを振り返ると、柏が10戦負けなしの快進撃を見せて4位。さらに、昇格組のC大阪が首位に立っています。予想していなかったので正直驚かされました。

 柏は攻守のバランスが取れて非常にまとまってきました。MF大谷秀和(32)がチームをけん引し、好調のGK中村航輔(22)の活躍にイレブンが刺激を受けているので、今後もチームの勢いは持続しそうです。C大阪もMF清武弘嗣(27)やFW柿谷曜一朗(27)ら個人能力の高い選手がいるので、簡単には崩れません。後半戦も優勝争いに絡んでくるはずです。

 昨季王者の鹿島、G大阪、川崎が順当に上位にいる一方、優勝候補に挙げられていた浦和が苦戦しています。対戦相手が浦和を詳細に研究していることが低迷の理由でしょう。相手DFがブロックをつくって、浦和のパスサッカー対策を立てている中で、浦和の選手も守備面では球際で競り負けるシーンが多く、マークの受け渡しもズレることがあります。

 しかし、まだ首位と勝ち点9差で逆襲は十分に可能な順位。ミハイロ・ペトロビッチ監督(59)の解任騒動もあって周囲は騒がしいのですが、もともと力のあるチームですし、タレントも揃っています。準々決勝まで勝ち上がっているアジアチャンピオンズリーグと並行して戦うのは厳しいところですが、課題を修正できれば巻き返してきます。

 後半戦は元ドイツ代表10番のFWルーカス・ポドルスキ(32)とFWハーフナー・マイク(30)が入団した神戸が注目されていますが、戦力補強が“もろ刃の剣”になる恐れもあります。攻撃力アップが期待できる半面、ポドルスキを生かすために戦い方を変えるようならばチームのバランスが崩れかねません。そうなれば優勝を狙うのは難しいでしょう。

 逆に台風の目になりそうなのは磐田です。6月から負けなしの5連勝。しかもG大阪、浦和、FC東京と強豪を撃破しました。元日本代表MF中村俊輔(39)の考えとチームの戦い方がマッチしてきたことが要因ですが、司令塔が加わったことで名波浩監督(44)の戦術も幅が広がり、理想に近づいています。俊輔のフル稼働が条件になりますが、V争いにも絡んでくるでしょう。

 今後もJ1優勝争いは混戦ムードのまま終盤戦に向かっていくと思います。過酷な夏場の戦いを含め、心身ともにタフなチームがタイトルを手にするはずです。