国際サッカー連盟(FIFA)が2018、22年W杯招致における不正疑惑の報告書を全面開示したことを受け、日本サッカー協会の田嶋幸三会長(59)が28日に都内で取材に応じた。

 22年大会に立候補した日本は、規定の100ドル(約1万1000円)を上回る5万~19万円相当の贈答品を当時のゼップ・ブラッター会長やミシェル・プラティニ氏ら10人以上の幹部に贈った。田嶋会長は「FIFAから『招致の綱紀を損なうものではない』との結論をもらっている。すでに解決している問題。インテグリティーは守られている」と強調。贈答品は「日本の文化を広めるため」と説明した。

 一方、22年W杯を開催国するカタールは、資源会社やスポーツ財団を巻き込み、アフリカサッカー連盟総会のスポンサーになり、FIFA理事の知人と天然ガス輸出の取引に応じたという。韓国は「グローバルフットボール基金」への援助で投票に影響を及ぼし、オーストラリアはドイツと協定を結び、投票の約束を引き出した。米国はクリントン元大統領のサイン入り本を配布した。

 しかしFIFA理事にボリショイ劇場のバレエのチケットを提供したロシアに至っては、招致委員会が使用したコンピューターが壊れたため十分な証拠が揃わなかったという。調査に非協力的な国も多く、田嶋会長は「そういうところをちゃんと調べてほしい」と厳格な調査を求めた。

 W杯を巡る招致合戦の不透明な舞台裏が改めて浮き彫りになり、今後のW杯招致のあり方なども含めてまだ波紋は広がりそうだが…。