サッカー日本代表は13日、中立地のイラン・テヘランで開催されたロシアW杯アジア最終予選イラク戦で1―1のドローながらも勝ち点1を積み上げて出場権獲得に王手をかけた。しかし、ふがいない試合展開に元日本代表FW武田修宏氏(50=本紙評論家)はバヒド・ハリルホジッチ監督(65)を断罪。戦略と戦術のミスで勝ち切れなかった上、負傷者続出という代償を招いたという。一方で苦戦の一因となった酷暑での試合開催について関係各所の“陰謀”の可能性を指摘した――。

【武田修宏の直言!】日本は勝たなければいけない試合だったね。欧州ビッグクラブでプレーするような豊富なタレントを揃えているのに、うまくゲームマネジメントできなかった。前半8分に先制し、しばらくは安定していたけど、後半はイラクにボールを動かされてスタミナを消耗。本来は日本がやらなければいけないサッカーをされていたでしょ?

 ハリルホジッチ監督の戦略も完全に失敗だったよ。試合前日の会見で負傷者が出て「中盤の選手がいない」と話していたが、7日のシリア戦後に追加招集するチャンスはあった。それにイラク戦では、布陣やメンバーを変更して臨んだけど急造では、うまく機能しないのも当然。そこは指揮官の失態じゃないかな。

 戦い方についてもイラク戦を前に、指揮官がカウンター戦術を求めたのに対し、FW本田圭佑(31=ACミラン)ら選手はパスサッカーを要望していたみたいだね。だけど、気温37度ならボールをつなぐほうが効果的だって。むちゃなことするから、消耗してしまい、試合中にケガ人が出たのかもしれないよね。

 ハリルホジッチ監督と選手間もギクシャクしてるかな。MF今野泰幸(34=G大阪)が投入されるとき、監督は大慌てし、急がせていたけど、今野は指揮官をまったく見ていなかった。「監督のために――」という雰囲気は選手から感じなかったし、W杯本番に向けては指揮官を見直したほうがいいかもね。

 それと、気になるのは気温37度もある時間に試合が組まれたこと。ピッチは40度以上になるし、試合をやる気候じゃないよ。相手も同じ条件かもしれないけど、イランと同じ地域のイラクも似たような気候だから慣れは違うよ。正直アウェーでも、ホーム扱いのイラクと話し合いをすれば、試合時間を変更できたんじゃないかな。

 会場施設の不備でナイター開催ができないという報道もあったけど、仮に巨額な放映権料を支払っているテレビ局やスポンサーが視聴率の取れる日本時間に合わせ、キックオフを要請したとか、資金を受け取るアジアサッカー連盟(AFC)側の配慮などがあったとするならば、本当に残念なことだよ。

 ちなみに同じ中東地域で13日開催のW杯アジア最終予選A組のカタール―韓国戦は、ナイター開催で現地時間午後10時の試合開始(日本時間午前4時)。2014年のブラジルW杯でも日本は昼間の試合で疲弊したけど、関係団体からの何かしらの要望や配慮が原因としたら、日本サッカー界が代表チームの足を引っ張っていることにつながるんじゃない? 

 ピッチ内外に問題はたくさんあるけど、まずはW杯出場権を取ることが大事。日本は次戦(8月31日・埼玉)のオーストラリア戦に勝てば、6大会連続出場が決まる。予選では未勝利の相手だけど、しっかり戦ってほしい。(元日本代表FW)