ハリルジャパンが深刻な問題に直面した。日本代表は7日のキリンチャレンジカップ・シリア戦(東京)を経てロシアW杯アジア最終予選イラク戦(13日、テヘラン)に臨む。6大会連続のW杯出場へ向け熱戦が続く中、対照的なのは不振続きで“危険水域”に迫るテレビ視聴率だ。あまりの不人気ぶりにDF長友佑都(30=インテル)も危機感を訴えており、チームにも緊迫感が漂っている。

 ハリルホジッチ監督は試合を前に「毎回感じるのは本当に合宿の時間が少ない。国内組は残念ながら疲労回復のトレーニングを少しできたくらいだ。ケガもある。チームの中でいろいろな問題が起きた」と毎度おなじみの“愚痴モード”だったが、問題が起きているのはピッチ外も同様だ。

 アルベルト・ザッケローニ氏が日本代表を率いて戦ったブラジルW杯アジア最終予選は、独占放映権を持つテレビ朝日系で中継され、平均視聴率30%超えを連発。W杯出場を決めたホームのオーストラリア戦は平均視聴率38・6%と40%に迫る驚異的な数字を叩き出した。

 しかしハリルジャパンが戦う最終予選はゴールデン帯に中継しても視聴率は10%台が多く、最高でも昨年11月のサウジアラビア戦の21・8%。最大のヤマ場とみられたアウェーでのUAE戦も試合開始が午前0時30分の深夜帯だったとはいえ、平均10・3%とあわや1桁台の惨状で人気回復の気配は一向に見られない。

 若者のテレビ離れという問題はあるものの、ハリルホジッチ監督の守備戦術をはじめ、イタリアでほとんど試合に出ていないFW本田圭佑(30=ACミラン)の強行招集やJリーグを軽視する姿勢も視聴率低迷の理由と見られる。日本サッカー協会関係者も「ちょっとヤバイ。気にしていますよ」と顔を曇らせた。

 この現状にイレブンも危機感を募らせる。チームの重鎮DF長友は「結果を残さないと人気はすぐに落ちる。そこはわかりやすい」とシビアな現状を痛感。さらに「(ロシアW杯)最終予選も出だし(初戦UAE戦、1―2)が良くなくて、全体的にネガティブな雰囲気が漂っていた」と指摘し、選手間にも“人気低迷”のプレッシャーが重くのしかかっていたと証言する。

 W杯出場をかけた戦いが佳境に入っても視聴率が伸び悩めば、スポンサーなど各方面への影響も懸念される。W杯予選も残り3試合。そろそろ会心のゲームで世間の関心を高めたいところだ。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)