偉大な「カンピオーネ」がピッチを去った。イタリア1部ローマを今季限りで退団するFWフランチェスコ・トッティ(40)が28日の今季最終戦・ジェノア戦で後半9分から出場。下部組織を含めると28年間在籍したクラブに別れを告げた。

 1―2で迎えた中で投入されたトッティは何度も決定機を演出し、3―2の逆転勝利に貢献。試合後は「この時が来ないことを願っていたが、ユニホームを脱ぐときが来た。まだ辞めないと言うかもしれないが、たぶんそれはないだろう。ローマに人生を懸けたことを誇りに思う」と目を潤ませながら現役引退ともとれるスピーチを行い、本拠地オリンピコのサポーターも涙した。

「ローマの王子様」と呼ばれたトッティは、2000年1月に移籍加入した元日本代表MF中田英寿氏(40)とポジション争いを繰り広げたことで日本でも知名度が高まった。00―01シーズンではローマの18季ぶりの優勝の立役者となり、イタリア代表としても06年ドイツW杯で優勝。一方で、02年日韓W杯決勝トーナメント1回戦の韓国戦では誤審で退場処分を受けるなど、記録にも記憶にも残るスーパースターだった。

 偉大な足跡を残したトッティの最終戦に対し、イタリアの「ガゼッタ・デロ・スポルト」紙は異例の「10点満点」の採点をつけ「リアルな点数は6・5だが、彼のキャリアと偉大な功績に、背番号と同じ10点を贈りたい」と寸評を添えた。

 ちなみに過去「ガゼッタ」紙がクラブチームの試合で10点をつけた選手は、1998年のカリャリGKアレッシオ・スカルピと、00年5月のインテルFWロベルト・バッジョの2人だけ。スカルピは試合中の接触で心肺停止状態になったチームメートを蘇生させ、バッジョは欧州CL出場権をかけたパルマとのプレーオフで2得点を挙げた。トッティは辛口で知られる「ガゼッタ」紙で3人目の10点満点獲得となった。