日本サッカー協会は25日、キリンチャレンジカップのシリア戦(6月7日、味スタ)とロシアW杯アジア最終予選イラク戦(同13日、イラン・テヘラン)に臨む日本代表メンバー25人を発表した。MF清武弘嗣(27=C大阪)ら代表常連の主力メンバーが外れて、無名のMF加藤恒平(27=ベロエ・スタラザゴラ)らの新顔を初選出した。サプライズで代表初招集となったMF加藤は一体どんな選手なのか。2012年当時、所属したJ2町田の唐井直GM(59)に聞いた。

――どんな経歴の選手なのか

 唐井GM 和歌山出身で、私が千葉に所属していた当時のユースで主将だった。立命館大学に進んで3年生のときにアルゼンチンへ渡ったけど、諸事情でプロ契約ができずに日本に出戻ってアマチュアで町田に入り、そこでレギュラーとして活躍し、プロ契約に至った。ただ本人の海外志向が強くて町田を1年で退団し、欧州に渡った、という選手ですね。

 ――どんなプレースタイルなのか

 唐井GM 町田では3バックと守備的MFをやっていた。体を張った泥くさいプレーで守備的な仕事ができていた。(当時オズワルド)アルディレス監督が「取り組む姿勢が素晴らしい」と抜てきし、急成長した。それに海外移籍し、どんな監督でも使われているように、キチンと信頼関係が築ける選手だった。武器はFK。毎年6、7点は取っている。キッカーとしても成長しているので(代表でも)面白いかもしれない。

 ――ピッチ外での思い出はあるか

 唐井GM 当初はアマチュア契約で年俸をもらっていなかった。そこでクラブのスクールで指導のアルバイトしながら練習に取り組んでいた。でもお金がないから、クラブハウスに来るのは自転車だったし、いつも自分で髪の毛を切っていたり…。プロ契約になるまでは苦労していた。ハングリーな選手です。

 ――現在でも連絡は取っているのか

 唐井GM いまでも取っているし、オフで日本に戻ってくれば食事をする。向こう(ブルガリア)に日本代表スタッフが視察に来たことも話してたけど、厳しい環境でさらに成長している。彼を見守ってきたのでうれしいし、町田から初めてのA代表選手なので、ここから頑張ってほしい。