元王者に危険水域が迫ってきた。昨季までの5シーズンで3度のJ1王者に輝いた広島は30日のFC東京戦(味スタ)で、0―1で敗戦。リーグ戦9試合で1勝6敗2分けとJ2降格圏(16位)に低迷している。

 拮抗した展開の中、0―0の後半23分に左CKから先制点を献上。エースFW工藤壮人(26)もチャンスを決めきれなかった。この日も浮上のきっかけをつかめなかったが、森保一監督(48)は「今はチームを構築している最中。続けていくことで選手同士のあうんの呼吸ができ、いい結果につながる」と巻き返しに自信。DF千葉和彦(31)も「下ばかり向いてネガティブになってはいけない。今日もCK以外のところは悪くなかった」と前向きだ。

 3度のリーグ優勝を誇る名将が指揮を執り、戦力だけならJ1でも上位。新戦力との連係面が向上すれば上位もうかがえそうだが、勝てそうで勝てない状況は、FC東京(2010年)、G大阪(12年)、C大阪(14年)、名古屋(16年)といったまさかのJ2降格を喫したチームと似たパターン。チーム内に危機感は充満していても「続けていけば、連係もよくなって巻き返しは可能」という楽観論こそが最大の敵ともいえる。

 このまま歴史は繰り返されるのか。まだ序盤とはいえ、広島は早くも正念場を迎えた。