天皇杯決勝ゴール導いた名将の助言

2013年01月03日 16時00分

 元日に行われたサッカー・天皇杯決勝は、J1柏が今年からJ2に降格するG大阪に1―0で快勝。前身の日立製作所が1975年に優勝して以来37大会ぶり、柏レイソルとしては初めての優勝を飾った。劣勢に立たされながらも伏兵のDF渡部博文(25)が決勝点を奪うなど、ネルシーニョ監督(62)の巧みな戦術で昨季のJリーグ優勝に続くタイトル獲得に成功した。


 ネルシーニョ監督の魔法が大舞台で輝きを放った。前半からG大阪のパスサッカーに対応できないと判断した指揮官は前半32分にMF水野晃樹(27)に代えてFW田中順也(25)を投入する大胆な交代策をとった。これでリズムを変えると、その3分後にCKから渡部のヘディング弾がゴールネットに突き刺さった。


 守備の要のDF近藤直也(29)が準決勝で故障して欠場。その代役として出場した渡部にネルシーニョ監督は試合前、あるアドバイスを送っていた。

 

「セットプレーでは動き過ぎるな。マークを外しさえすれば競り勝てる」

 

 渡部は185センチの長身が武器だが、これまでセットプレー時に余計な動きが多くてチャンスをモノにできていなかった。G大阪の守備陣に高さがないこともあり、渡部に的確な指示を送った指揮官のファインプレーでもあった。


 前半途中での選手交代は、自らの先発選びの判断ミスを認めるようなもの。だが、百戦錬磨の指揮官はプライドをかなぐり捨て、チームに植えつけた「ヴィトーリア(勝利)」の意識を愚直に実行した。今季限りで柏を退団する水野は「個人的には複雑な気持ちだった。決勝の前半途中で交代させられたわけだから。でもチームが勝てばいい。監督の判断は素晴らしかった」と最後まで不満を漏らすことなく、指揮官の仕事を称賛した。


 これで3月開幕のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を2季連続で獲得。大黒柱のMFレアンドロ・ドミンゲス(29)は「昨年は初めての経験でうまくいかなかった。だが、ACLにどういうレベルのチームが出てくるかがわかった。次はもっといい試合ができる。目標はタイトルだ」と堂々とアジア制覇を誓った。柏イレブンは名将のタクトで次の大きな夢をつかむ。