サッカー女子の国際親善試合「キリンチャレンジカップ」が9日、熊本市のえがお健康スタジアムで行われ、世界ランキング6位のなでしこジャパンは同30位のコスタリカに3―0で勝ち、昨年4月の就任した高倉麻子監督(48)の国内初陣を勝利で飾った。

 3月のアルガルベカップ(ポルトガル)では2勝2敗の6位に終わり、熊本地震復興支援マッチとして行われた一戦。指揮官は初招集のDF市瀬菜々(19=仙台)をいきなり先発に抜てきするなど、結果と内容の両面にこだわる采配を見せた。

 開始直後から主導権を握ったなでしこは前半23分に先制に成功した。右サイドからDF高木ひかり(23=ノジマステラ神奈川相模原)がカットインし、中央のFW横山久美(23=長野)にパス。相手DFにマークされながら素早くターンした背番号9は、ペナルティーエリア外から左足を振り抜くと、ボールはゴール右上に突き刺さった。

 その後も積極的な仕掛けでチャンスを作ったが決定力を欠き、1点リードで後半に突入。高倉監督は初招集のMF隅田凜(21)、アルガルベカップで活躍したFW籾木結花(21=ともに日テレ)を投入し、追加点を狙った。

 攻勢を強めたなでしこは同15分にMF長谷川唯(20)、同23分にもFW田中美南(22=ともに日テレ)が惜しいシュート。同24分には横山に代えて地元熊本出身で初代表のFW上野真実(20=愛媛)を投入すると、その上野が同29分、左サイドから絶妙なグラウンダーのクロスを入れ、田中のゴールをアシスト。新戦力がきっちりと答えを出した。

 同37分には長谷川の左クロスがゴール前に走り込んだ籾木の右足にピタリと合ってダメ押しの3点目。この日が誕生日の籾木はうれしいバースデーゴールとなった。

 守備陣も最後まで集中力を切らさず、無失点でタイムアップのホイッスル。新生なでしこジャパンが熊本の地でうれしい勝利をつかんだ。

 高倉監督の話「立ち上がりから緊張があったのか、動きが硬かった。後半は少し緊張も取れて、いい連動の中でいい形を作れた。思ったような攻撃、守備にならないなと思っていた。声をかけて修正していこうとしたが、できなかった。結果として勝つことができたので、それはよかった。内容的にはまだまだ。攻守としてやらなければならないことは多い。みんなを信じてコツコツやっていきたい」