J2横浜FCのカズこと元日本代表FW三浦知良(50)が、2017年に入って“不敗神話”を継続させている。開幕から2試合連続で先発出場したカズは、プレシーズンマッチなどを含めて今季はノーゴール。一方で出場した全6試合で負けが記録されていないのだ。50歳になってもスタメン出場を続ける裏にあるのは指揮官の特別扱いや話題づくりではない。「出れば負けない」という公然たる事実があった。

 カズは開幕から2試合連続の先発出場となった敵地の長崎戦(5日)で、自身の持つJリーグ史上最年長出場記録を50歳7日に更新し、元イングランド代表の名選手であるFWスタンリー・マシューズ氏(故人)の最年長出場記録、50歳5日を超える金字塔を打ち立てた。

 そんな快挙達成の裏で、もう一つの記録が進行している。今季は開幕から1勝1分けという結果に加えて、プレシーズンマッチや練習試合などカズが出場したゲームは無敗なのだ。その中には1―0で勝利したニューイヤーカップ鹿島戦(2月4日)や0―0だったC大阪との練習試合(同8日)といったJ1勢との対戦も含まれている。

 全盛期のようなキレもなく、ゴールを決めたわけでもない。では一体なぜなのか。横浜FCの中田仁司監督(55)は「カズが出ているときには負けていない。ゴール前の動きは今も相手にとっていやらしい。それに相手選手は『カズさんに点を取られたら恥ずかしい』『50歳のオッサンに点を取られるのは屈辱』とか思って余計なプレッシャーがかかる。これだけでも意味がある」と説明。これは偉大な選手であるカズにしかできない芸当だけに、数字に表れる結果は出していなくても貴重な戦力なのだ。

 だからこそ負傷離脱はチームにとって大きな痛手となる。指揮官は「一番困る。年齢も年齢だからケガをしたら長引いてしまう。今まではコンディションがあまりよくないときに無理をしてケガをしてしまうことが多かったから、そこまでいかないようにコントロールしてやっていく」と細心の注意を払うつもりだ。

 カズ本人は、無敗が続いている状況に「DFの意識が強い。出足から守備の意識を高く持てている」と冷静に分析する。自身の出場試合でどこまで無敗を続けられるのか。今季の成績を左右するのは、やはりキング・カズということになりそうだ。