ハリルジャパンの秘密兵器となるか。25日に開幕する今季のサッカーJ1は、大物選手の移籍が続いて話題を呼んでいる中、神戸に新加入した元日本代表FW田中順也(29)を直撃。ポルトガルでの経験や恩師ネルシーニョ監督(66)への思い、そしてハビエル・アギーレ前監督(58)が率いた2014年を最後に遠ざかっている日本代表復帰への思いを熱く語った。

 ――柏時代の恩師が率いる神戸に加入した

 田中:優勝できる監督というのは“力”を持っている。恩師のもとでまたタイトルを取れたらこれ以上ない幸せ。もう一度実現したい。

 ――神戸はオフに巨大補強を行った:

 田中:戦力が揃っても簡単に勝てるリーグではない。チームとしてのまとまりが大事。そのために選手が同じ方向を向く意識を根付かせたい。

 ――指揮官のサッカーを熟知するだけにチームを引っ張る期待も大きい

 田中:僕は5年やっていて染み付いているし、初めての選手や若い選手には自分の分かる範囲で会話もしている。ただ、監督は若い選手でも良ければ使うし、逆にベテランでもミスが目立てば代えられる。僕も気は抜けない。

 ――ポルトガルでの経験を振り返って

 田中:ポルトガルという国はほぼ即決で選んだ。日本人が多く活躍しているドイツとかより、もっと違った国でやりたい思いがあった。ブラジル人と会話できるので、今になってポルトガル語が財産になっている。1年半生活し、日常会話なら全く問題なくしゃべれる。外国人選手との懸け橋にもなれたらいい。

 ――プレー面では

 田中:ネルシーニョ監督に教えてもらった勝負強さや試合を見極める力は通用したと思う。1年目は公式戦で7点くらい取れたし。そのとき6人くらいポルトガル代表がいて、その中で一緒にサッカーをできた経験は良かった。

 ――ハリルジャパンでは左利きのFKキッカーは人材難とあって、貴重な戦力となりそうだが

 田中:直接FKを叩き込める選手は、MF中村俊輔(38=磐田)さんが代表に選ばれていなくて(その後はいない)というのもある。Jリーグでより多く決めた人が選ばれると思うので、Jリーグで結果を出すことが大事。僕も与えられたチャンスで外さないように頑張りたい。

 ――今季にかける意気込みを

 田中:神戸で歴史をつくりたい。優勝してACLに出て、クラブW杯に出たい。個人的には10ゴール10アシストしたい。2011年には達成しているのでまた挑戦したい。

 ☆たなか・じゅんや 1987年7月15日生まれ、東京都出身。順大在籍時の2009年に特別指定選手として柏でJ1デビューを果たし、翌10年に入団。11年には13ゴールを挙げる活躍でクラブ史上初となるJ1制覇の原動力となった。14年6月にポルトガル1部の強豪スポルティングに移籍。その際に違約金が6000万ユーロ(約71億6000万円)に設定されるなど大きな話題を呼んだ。昨年2月の柏への期限付き移籍を経て、今季から神戸に完全移籍。J1通算135試合出場、38得点。日本代表4試合出場。181センチ、75キロ。