サッカー・イタリア1部リーグのACミランに所属する日本代表FW本田圭佑(30)に、まさかの日本復帰の目が出てきている。今季出番が激減した日本のエースはミランとの契約満了で「移籍金0円」となる今夏に米国メジャーリーグサッカー(MLS)への移籍がささやかれるが、Jリーグクラブも本田獲得レースに参戦。にわかに、欧州クラブも含めた大争奪戦が勃発しそうだ。

 今季のイタリアでほとんど出番がない本田は冬の市場で移籍を模索したが、1月末の締め切りまで目立った動きはなかった。結局、今シーズンの残留が確定。とはいえベンチ暮らしは続いたままで、ミランとの契約が終わる今夏の退団が確実となっている。そうしたなか、ミランの10番獲得にJクラブも動き出すという。

 あるJクラブ幹部はこう明かした。「獲得に動くクラブはあるだろうね。ミランとの契約が終わって移籍金が発生しないから(費用負担は)年俸だけで済む。2~3億円くらいならば、外国人選手を獲るのとそんなには変わらない。本田が日本に戻ってくるかどうかは別にしても、チャンスがあるのなら動くJクラブは出てくる」

 今冬にはセビリア(スペイン)の日本代表MF清武弘嗣(27)がJ1C大阪に復帰したが、移籍金だけで600万ユーロ(約7億2000万円)もの費用がかかった。本田は年俸250万ユーロ(約3億円)とされるものの、高額な移籍金が発生しないため清武より安価で獲得可能。Jクラブにとってはまさに“お買い得商品”というわけだ。

 本田にもメリットはある。自身が「おそらく最後」と位置づける来年のロシアW杯に向けて、出場機会が得られないままだと、日本代表落選が現実味を帯びてくる。引き続きの海外挑戦では、再び激しいポジション争いを強いられ、試合に出場できない可能性がある。となれば「日本復帰」が有力な選択肢の一つに浮上してくるだろう。

 では、どのクラブが日本のエース獲りに動く可能性があるのか。J1クラブの強化担当は「(夏の獲得なら)そのときに成績不振のクラブだったり、野心のあるクラブは本田に興味を示すでしょう。移籍金がないのはメリットだし、知名度は高いから、営業的な面からも欲しいと考えるクラブはある。例えば鳥栖とか神戸とか…」と、見通しを語った。

 J1鳥栖は有力スポンサーのゲームソフトメーカー「Cygames」がビッグネームの獲得に向けて「青天井の資金を約束している」と言われている。J1神戸も親会社のインターネット販売大手「楽天」の資金力をバックに大物選手の獲得に乗り出しており、他のJクラブ関係者も本田に興味を示すのは間違いないと見ている。特に神戸のネルシーニョ監督(66)は名古屋で指揮を執っていた際にルーキーだった本田を大抜てきした。信頼関係は強固で、起用法も含め再起を目指す本田にとっては最適なクラブとなる。

 現時点で本田は海外でのプレーを希望している模様だが、「移籍金0円」となるだけにその海外クラブも放ってはおかない。イングランド・プレミアリーグをはじめ、MLS、中東各国、中国の各クラブも虎視眈々と狙っており、参戦確実のJクラブとの間で本田争奪戦が始まりそうな気配だ。半年後、日本のエースがサッカー人生において重大な分岐点を迎えるのは間違いない。