悲願のJ1制覇へ、FC東京の合言葉は“チーム大久保”だ。FC東京は1日、東京・渋谷区の明治神宮で今季の必勝祈願を行った。クラブ初のリーグ優勝を目指して今オフは日本代表クラスの選手を次々と獲得。大補強の中心にいるFW大久保嘉人(34)はすでにその求心力を発揮し、チームに変革をもたらし始めている。

 大久保の表情が、いつにも増して引き締まっていた。意外にも「初めてだね」という明治神宮への参拝を終えると「すぐに開幕するし、戦術とかしっかりみんなが同じ方向を向いていければいいと思う」と新天地で迎えるシーズンへ向けて気持ちを新たにした。

 チームは沖縄・国頭での1次キャンプを無事に終了。「すごく慣れた。これからもっとすり合わせが大事になる。チームのために頑張る」と新たな環境にもすっかり順応した様子で、4日から始まる宮崎・都城での2次キャンプが待ち遠しくて仕方ない。自らに求められる役割も理解しており、2年ぶりの得点王奪回を宣言。「もちろん目指す。その気持ちは常に持っている」と闘志をみなぎらせた。

 ベテランの姿が早くもチームに刺激を与えている。選手会長のMF橋本拳人(23)は「ヨシトさんは日本代表や海外も、いろいろな経験を持っている。どんどんアドバイスとか聞いていきたいし、厳しいこともどんどん言っていってもらいたい」と弟子入りを志願する。大久保は数々の修羅場をくぐり抜け、J1で3年連続得点王を獲得。そんな大久保の教えをチーム全体、特に若手が積極的に吸収しようとキャンプ中は連日のように“大久保塾”が開催されているのだ。

 大久保を生かす新たな“ホットライン”も完成。大久保は川崎時代に変幻自在のパスを送るMF中村憲剛(36)と強力コンビを組んだが、FC東京でも同様の役割を担える選手の獲得を要望したという。それが、韓国1部FCソウルからMF高萩洋次郎(30)の電撃加入という形になって表れた。

 高萩は26日から合流したばかりだが、大久保との連係は早くも完成の域に近づいている。2人はピッチ内外でコミュニケーションを深めており「(大久保は)頼りになる。僕はどんどんボールを供給していきたい」と高萩は手ごたえを感じている。これまで“十分な戦力がありながら勝てない”というレッテルも貼られていたFC東京だが、大久保効果が期待できる今季はひと味違いそうだ。