Jリーグの年間表彰式「Jリーグアウォーズ」が20日、横浜市内で行われ、J1川崎のMF中村憲剛(36)が初めて最優秀選手賞(MVP)に輝いた。

 中村のMVP選出の一方で、川崎以上に今季を盛り上げた2チームは“消化不良”に終わった。

 今季、日本のサッカーファンに最も鮮烈な印象を残したのは、クラブW杯で準優勝という歴史的偉業を成し遂げた鹿島。だが、投票はリーグ戦終了時点で締め切られたため、ポストシーズンの快進撃は対象外となった。

 年間勝ち点1位の浦和からは4選手がベストイレブンに選出。その中でGK西川周作(30)はリーグ最少28失点の堅守を支え、J1初となるGKの2試合連続アシストも記録するなどチームをけん引し、MVPの本命とも言われていた。対抗馬も攻守の要で存在感を放ったMF柏木陽介(29)や主将のMF阿部勇樹(35)で、浦和勢の争いという見方も強かった。

 しかしフタを開けてみると、栄冠に輝いたのは中村。村井満チェアマン(57)が「ベストイレブン投票でダントツだった」と語ったように、選手や監督ら現場からの圧倒的支持を受け、選考委員会の投票でも票が集まった形だ。

 もちろん、今季の中村はMVPに値する活躍だったが、なぜ浦和勢に票が集まらなかったのか。有力選手揃いで票が割れたこともあるものの、Jクラブ関係者は「本来選考に関係はないけど、ハリルジャパンでの印象が悪すぎたんじゃないの」と冗談交じりに指摘する。日本代表はロシアW杯アジア最終予選で格下のUAEにホームで逆転負けを喫するなど失態続きで解任騒動に。ドタバタの中で西川の守備も協会幹部が酷評するなど現場では“マイナスイメージ”が広がった。

 もちろん代表でのプレーはJリーグMVPの評価対象にならないが、対戦回数が少ない選手などはつい“印象”で投票してしまう可能性も否定できない。関係者の指摘もあながち的外れとは言えないのかもしれない。