【武田修宏の直言!!】右ヒザのケガで1年9か月も戦列を離れていたドイツ1部シャルケのDF内田篤人が、8日の欧州リーグ(EL)でようやく復帰を果たしたね。同じ清水東高の後輩ということもあってずっと気にしていたから、本当にうれしい。長いリハビリ期間は本人にしか分からない苦しみもあっただろうけど、諦めずにカムバックを果たした彼の精神力には改めて敬意を表したいよ。

 今回の彼の復帰は、サッカー文化の違いを感じさせるニュースでもあったね。1年9か月も試合に出ない選手、しかも内田はドイツから見れば「助っ人」。それでもクラブは契約解除することもなくケアを続けた。日本でリハビリをさせる許可を出すなど柔軟な姿勢も目についた。これがスペインやイタリアのクラブだったら、ここまで辛抱強く面倒を見てもらえただろうか。改めて、ドイツという国の懐の深さ、サッカー文化の成熟度の高さを知らされたよ。

 シャルケのバインツィール監督も内田の頑張りを見てきただろうから、ELのザルツブルク戦でピッチに送り込んだんだろう。内田も言っていたように、1点ビハインドの状況でDFを投入するのは監督の采配としては普通あり得ない。それでも内田を起用したのは、彼がいかに愛されているかの証明だと思う。

 まずは第一段階をクリアしただけで、本当に大変なのはこれから。でもサッカーができる喜びを心の底から感じた内田なら、今まで以上の活躍を見せてくれると信じているよ。

☆武田修宏:たけだ・のぶひろ=1967年5月10日生まれ。静岡県出身。幼少期から「天才少年」と呼ばれたストライカー。名門・清水東(静岡)から86年に読売クラブ(現東京V)入り。ルーキーながら11得点を挙げ、リーグVに貢献し、MVPにも選出された。Jリーグ発足後はV川崎や磐田、京都、千葉などでプレー。00年には南米パラグアイのルケーニョに移籍。01年に東京Vに復帰し、同シーズンで現役引退した。Jリーグ通算は94得点。JSL時代も含めれば152得点を挙げた。87年に日本代表に選出。93年米国W杯アジア最終予選でドーハの悲劇を経験した。

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