サッカーのクラブ世界一を決めるクラブW杯が8日に開幕する。開催国代表として初出場のJ1鹿島は8日の初戦でオセアニア代表のオークランド(ニュージーランド)と戦う。昨年大会で3位と躍進したJ1広島に続いて上位進出を狙うが、日本勢初の“世界制覇”に向けて欠かせない条件は何か。元日本代表MF前園真聖氏(43=本紙評論家)が今季のJリーグ王者を徹底分析した。

 鹿島が7年ぶりのリーグ制覇を果たし、初めてクラブW杯の出場権を得ました。ここ数年は低迷していましたが、DF植田直通(22)やMF土居聖真(24)、FW鈴木優磨(20)ら若手の台頭で選手層が厚くなりました。MF小笠原満男(37)、GK曽ヶ端準(37)のベテランとも融合し、伝統の鹿島イズムがしっかり浸透した結果ではないでしょうか。

 クラブW杯はチーム力を測る試金石になると思いますが、Jリーグチャンピオンシップ(CS)を逆転で制した勢いもあり、上位進出も十分に狙えます。特に守備組織はしっかりと構築されていますし、大きな穴は見当たりません。トーナメントを勝ち抜くために欠かせない“勝負どころ”では、素晴らしい集中力を発揮し、相手の攻撃を封じ込めるでしょう。

 ベテランの小笠原が戦況に応じ的確な指示を出せるので、守備面に関しては大崩れする可能性は低く、クラブW杯でも戦えると見ています。逆に攻撃面はかなり厳しい状況かもしれません。実際、今季第1ステージを制覇した鹿島が第2Sで11位と低迷したのは、決定力不足が原因でした。

 中でも今季チームトップの10得点を挙げたエースFW金崎夢生(27)は、優勝した第1Sに8ゴールも第2Sはわずか2得点と大不振。これがチームの成績にも直結しました。つまり鹿島の躍進は、金崎がエースの仕事をこなせるかどうかにかかっているわけです。

 幸いにもそのパフォーマンスは上昇中。浦和と戦ったCS決勝では2得点を決め、大会MVPに輝きました。もともと勝負強い選手なので大舞台でも動じることなくプレーできます。金崎が好パフォーマンスでチームをけん引すれば、若手選手も勢いを増すはずです。その相乗効果で世界制覇だって不可能ではないでしょう。

 全世界が注目する大会ですから、ここで結果を出したイレブンにはビッグオファーが舞い込むかもしれません。決勝まで勝ち上がれば、おそらく欧州王者レアル・マドリード(スペイン)との対戦になります。今から楽しみですね。