【W杯アジア最終予選】勝っても増大するハリル解任圧力

2016年11月16日 16時30分

会見場から引き揚げるハリルホジッチ監督は満面の笑みを浮かべた

 サッカー日本代表はロシアW杯アジア最終予選サウジアラビア戦(15日、埼玉)に2―1で勝利し、W杯切符を占う重要な一戦を制した。前半戦のヤマ場を大胆な戦略で何とか乗り切ったが、舞台裏ではバヒド・ハリルホジッチ監督(64)の後任をめぐる動きが活発化していたことが判明。スポンサーからも「失格」の烙印を押され、ハリルジャパンは風前のともしびだった。ひとまず指揮官のクビはつながったものの、まだまだ予断を許さない状況が続く――。

 

 6大会連続のW杯出場に向け大一番となるサウジアラビア戦。ハリルホジッチ監督は、FW本田圭佑(30=ACミラン)とMF香川真司(27=ドルトムント)のWエースを先発から外すことを決断。本田の代わりにはFW久保裕也(22=ヤングボーイズ)を抜てきした。

 

 日本は序盤から前線で激しいプレスをかけて主導権を握ると、前半45分にMF清武弘嗣(27=セビリア)が自ら得たPKを決め先制に成功。後半には本田、香川が次々と投入されて攻撃のリズムに変化をもたらし、同35分にFW原口元気(25=ヘルタ)が追加点を奪った。1点は返されたものの何とか逃げ切り、B組首位のサウジアラビアを撃破した。

 

 これまでのふがいなさがウソのような攻守で安定した試合運び。日本サッカー協会の田嶋幸三会長(58)は「最終予選で一番良い試合だった」と高く評価した。これでW杯出場圏内のB組2位に浮上し、指揮官も「このきつい時期を勝利で終えた。このチームにはかなり大きなチャンスがある」と胸を張った。

 

 ただ、この勝利で立場が安泰かといえば、決してそうではない。ひとまず解任危機は回避したものの、運命の一戦を前にハリルジャパンは大揺れだったのだ。最終予選では初戦から低調な内容が続き、サウジアラビア戦に負ければ指揮官更迭が避けられない状況。リオデジャネイロ五輪代表を率いた手倉森誠コーチ(49)の暫定指揮が既定路線とされたが、水面下では後任候補に向けた動きが活発化していた。

 

「今、日本にいる外国人監督や以前にJで指揮経験のある監督が何人か売り込みをかけている」(Jクラブ強化担当者)

 

 昨季までFC東京を指揮し、今季は鳥栖を率いたイタリア人のマッシモ・フィッカデンティ監督(49)や、かつて名古屋を率いた中国1部広州富力のドラガン・ストイコビッチ監督(51)、元鹿島監督のトニーニョ・セレーゾ氏(61)ら日本に縁のある指導者たちが、協会に次期代表監督就任を“アピール”していたという。

 

 さらに、指揮官更迭の機運は別のところからも高まっていた。W杯最終予選の視聴率が10%台に低迷し、20%を超えたのは9月のタイ戦のみ。30%超えを連発したザックジャパンと比べると雲泥の差で「代理店やスポンサーは代表戦の視聴率を気にしている。多額の資金を提供しているんだから当然でしょ」(Jクラブ関係者)という声が漏れた。不人気のハリルジャパンに対する風当たりは強くなる一方で、ピッチ外からの“解任圧力”は確実に増していたのだ。

 

 来年開催の最終予選の後半戦では苦手な中東のアウェー戦を3試合も残しており、W杯出場に向けてハリルジャパンの窮地に変わりはない。指揮官の処遇を含め、今後も火種はくすぶり続けそうだ。