果たして「リオ経由ロシア行き」は実現するのか。リオデジャネイロ五輪サッカー男子代表で大阪府出身のDF室屋成(22=FC東京)が本紙のインタビューに応じ、期待を集めながらも1次リーグ敗退に終わった“マナウスの屈辱”の真相を激白。さらに2018年ロシアW杯に向けて現在アジア最終予選を戦うハリルジャパン入りへの意気込みを語った。

 ――リオ五輪は1次リーグ敗退。初戦の相手ナイジェリアが直前までブラジル入りしなかった影響があったか

 室屋 負けた悔しさはある。もっと個人として成長しなければいけない。スタッフからもずっと「絶対ナイジェリアは来るから」と言われていたし、いつも通り「準備をしてくれ」ということだった。なので影響はなかったと思う。

 ――ナイジェリア戦で5失点と堅守が崩壊

 室屋 点を取られて取ってと独特の雰囲気でああいう展開になったので、試合全体がバタバタしていた。めったにないシチュエーションだったし、すごく難しい試合だった。攻撃は身体能力の高い選手が揃っていて前から来るけど、守備はもろい。だからスペースが空き過ぎていて、上がるべきか残って前の選手を捕まえるべきか、ずっと考えて難しかった。チーム全体に迷いがあったと思いますね。

 ――自身は右クロスの目測を誤るミスで失点を招いてしまった

 室屋 点が入ってすぐの流れでクロスが来てかぶってしまった感じ。自分のミスでしたし、そこは受け入れなければいけない。試合中はそこまで気にしないようにとは思っていたけど…。

 ――2戦目コロンビア戦はDF藤春広輝(27=G大阪)のオウンゴールが痛恨だった

 室屋 すごく話題になっていたけど誰だってミスはあるし、そこまでチームとしては気にしていなかった。でも本人は落ち込んでいたので、監督も気を使って面白いことを言ったりしていた。

 ――最終スウェーデン戦はようやく勝利

 室屋 いつも通りの試合ができた感覚。やっぱりナイジェリア戦が…。

 ――なぜバタバタのゲームになったか

 室屋 メンタルの弱さ。失点はどんなチームでもあるけど、そこで慌てたり焦ったり引きずってしまったり…。切り替えなきゃいけない。気持ちのコントロールがまだまだ。

 ――それは国際経験の少なさが原因なのか

 室屋 それはある。そういう舞台でどんどんやらないと。場数を踏む。だから自分も海外でプレーしたい。行かなきゃいけないという思いが強くなった。

 ――五輪ではオーバーエージ(OA)が精神的支柱になれなかったという指摘もある

 室屋 僕はそうは思わない。3人(藤春、FW興梠慎三=浦和、DF塩谷司=広島)とも素晴らしい選手。信頼している監督が選んだOAを僕たちも信頼していた。

 ――東京五輪で日本がメダルを獲得するためには、若い年代から欧州に出るべきか

 室屋 正しいかは分からないけど、僕はそう感じた。それも一つだと。

 ――リオ五輪では他競技が躍進した

 室屋 日本に帰ってきて「こんなに五輪のことが報道されているのか」と驚いたし、たくさんの選手がメダルを獲得して悔しい気持ちもすごくあった。だからあんまり見ていないです(笑い)。見たいと思えなかった。

 ――北京五輪世代のように悔しさを糧に

 室屋 それが一番強い。もっと成長したい気持ちが強くなった。

 ――日本代表DF長友佑都(30=インテル)と比較される。明治大学出身で、FC東京に所属し、サイドバックという共通点がある

 室屋 結構、それを言われるけど、長友選手を追っているわけではない。もちろんすごく尊敬している。たまたま同じ大学、同じチームに来て追いかけているように見えるかもしれないけど、やっぱり僕自身を見てほしい。僕を一人の選手として見てほしい気持ちが強い。比べられるのは好きじゃないので。

 ――リオ五輪世代ではFW浅野拓磨(21=シュツットガルト)やMF大島僚太(23=川崎)が早くもA代表デビュー

 室屋 一緒にプレーしていた選手がああやってA代表で出ている。うれしい気持ちと、やっぱり悔しさとか「オレもこのピッチでプレーしたい」という意欲が湧くので非常に刺激になる。

 ――A代表入りし、ロシアW杯を目指す

 室屋 目指さないといけないし、目指している。(ハリルホジッチ監督に)選んでもらえたら絶対にやれるという気持ちはある。A代表に入ったときのイメージも持っている。