〝なでしこスタイル〟まねし始めた欧米勢

2012年03月11日 12時00分

 アルガルベカップ決勝(8日)でなでしこジャパンはドイツに3—4で敗れ、タイトルを逃した。リードを許しながら2度も追いつき、世界女王の底力は見せたが、佐々木則夫監督(53)の本音は誤算だらけ。W杯優勝→ロンドン五輪金メダルという世界連覇への強化プランを軌道修正しなければならなくなったのだ。

 タイトルを逃したとはいえ、なでしこジャパンは昨年7月のW杯決勝をほうふつさせるような驚異の粘りを見せた。ところが佐々木監督の表情は冴えなかった。ゴールを奪っても、劇的なロスタイム同点弾を決めても、険しい表情を浮かべたままだった。

 今大会は若手選手を積極的に起用し、複数の選手を本来とは違ったポジションでテストした。欧州組の現状も確認でき、さらには不安視されていた大黒柱MF沢穂希(33=INAC神戸)不在の戦い方にもめどが付いた。それでも、世界最優秀監督には「想定外」のことがあった。それはライバル国の現状だ。

 今大会では昨年のW杯で戦った強敵と対戦したが、どの国もスタイルを変えてきた。しかも、なでしこジャパンが進めてきた「パスサッカー」を推進してきたのだ。最大のライバル米国も「新しいこと(パスサッカー)を始めている」(MF宮間あや)となでしこに衝撃が走ったという。

 なでしこジャパンは長年、欧米選手との体格差を埋めるため、パスサッカーを追求し、現在の地位を築いた。それがW杯優勝を機に各国が〝なでしこスタイル〟をまねし始めたのだ。欧米勢がパスサッカーを導入すれば、体格で劣るなでしこにとっては脅威のひと言。五輪に向け、強化プランを軌道修正する必要も出てきた。

 佐々木監督も「まねしてきたか…。米国もシフトチェンジでやってきたし、本大会(五輪)では各国ともボールをつないでくるだろう」と警戒を強めている。アルガルべ杯では各国のスタイルチェンジが完成の域に達しておらず、主導権を握れた。ただ、4か月後の五輪では精度も上がっているはずで、名将も苦悩の色を見せたというわけだ。

 さらに指揮官は今大会の試合で完敗することも想定していた。昨年のW杯前は親善試合で米国に2試合とも完敗し、そこから課題を浮き彫りにしてチームの再建を図り、世界制覇した。それが今大会は快勝を続け、決勝も大健闘。これでは課題を明確にすることができなかった。そのため「痛い目を見ないといけなかった…」と関係者に本音を漏らしたという。

 佐々木監督となでしこジャパンの次戦はキリンチャレンジ杯で米国戦(4月1日、仙台)、ブラジル戦(同5日、神戸)に臨む。今大会の決勝で敗れたドイツは五輪に出場しないが、ライバル国は打倒なでしこを合言葉に大きく変化。名将が危機感を抱いているのは間違いない。

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