【バーレーン・マナマ10月30日(日本時間同31日)発】日本サッカーが歴史を塗り替えた。U―19アジア選手権決勝で日本はサウジアラビアを相手に延長を終えて0―0でのPK戦を5―3で制し、初優勝を果たした。1次リーグから全6試合で無失点の強さだった。来年5月に韓国で行われるU―20W杯への出場権も獲得しており、4年後の東京五輪での悲願のメダル奪取へ期待が高まってきた。

 ついに悲願を成し遂げた。MF香川真司(27=ドルトムント)を擁した2006年のインド大会以来、7度目となる決勝の舞台。0―0で迎えた延長戦でも決着がつかずにPK戦へ突入した。先攻の日本は全選手がネットを揺らす中、サウジアラビアは4人目のキッカーが失敗。日本は5人目のエースFW小川航基(19=磐田)が右隅にキッチリと決め、初のアジア制覇を果たした。

 前評判は決して高くなかったが、1次リーグから決勝まで全6試合で無失点の堅守を武器に戴冠を実現した。U―19日本代表の内山篤監督(57)は「厳しいゲームだったが、選手がよく頑張ってくれたと思います。選手には『主導権を取ってアジアの頂点に立って帰ろう』と話していた」と目を細め、選手の奮闘をたたえた。

 試合は序盤から、今大会で16得点を挙げたサウジアラビアに押し込まれる苦しい展開となったが、全員守備で120分間を守り切った。唯一、前回の14年ミャンマー大会にも出場しているキャプテンのMF坂井大将(19=J3大分)は「すごくうれしい。前回のリベンジ以上のことができた」と喜びを爆発させた。

 大会前の9月、バルセロナ(スペイン)の下部組織出身のMF久保建英(15=FC東京U―18)が率いるU―16日本代表が、2大会ぶりのU―17W杯(来年8月、インド)への出場権をつかんだ。“弟分”の活躍に小川は「いい流れをつくってくれたので、自分たちもやらないといけない。結果にこだわりたい」と刺激を受けていたという。

 日本は1999年世界ユース選手権(現U―20W杯)で準優勝したMF小野伸二(37)やMF稲本潤一(37=ともにJ2札幌)ら「ゴールデンエージ」と呼ばれた世代が臨んだ98年大会、ハリルジャパンで10番を背負う香川らの06年大会と、いずれも決勝で涙をのんできた。相手に恵まれたとはいえ、先輩たちも越えられなかった“アジアの壁”を突破した意味は大きいだろう。

 次なる戦いはU―20W杯。相手もアジアから世界へと変わる。内山監督は「世界に行くと、個の能力が高い選手はたくさんいるので、クオリティーを高めて、グループとしてワンランクアップしないといけない」と気を引き締めた。坂井は「自信を持って世界に臨みたい。あと半年あるのでもっと成長できれば」と先を見据えた。

 すでに指揮官は同W杯に久保を“飛び級”で招集する方針を示唆しており、この世代が中心となる4年後の東京五輪を見据えたチーム編成で臨むことになりそう。歴史を塗り替えたイレブンが、さらなる進化を見せるはずだ。