【ポルトガル・リスボン発】サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)1次リーグ第3節の8試合が18日(日本時間19日)に行われ、F組ドルトムント(ドイツ)の日本代表MF香川真司(27)が敵地のスポルティング(ポルトガル)戦で約2年ぶりの先発フル出場。攻撃のリズムを作り、2―1の勝利に貢献した。チーム内での再浮上の足がかりをつかんだ。

 ようやく香川の欧州CLが開幕した。敵地のピッチ上で聞いた勝利のホイッスル。苦しい試合をものにした充実感と心地よい疲労感が背番号23の表情ににじんだ。

 開幕から2試合は出場機会に恵まれなかった。だが、現在チームは10人以上のケガ人を抱える非常事態。そんな中で14日の国内リーグ・ヘルタ戦では途中出場ながらPKを誘発するシュートなど随所に好プレーを見せた。トゥヘル監督の信頼を取り戻し、2014年11月4日のガラタサライ戦以来となるCL先発出場の座をつかんだ。

 与えられたポジションは4―1―4―1の2列目中央インサイド。同列でコンビを組むのは今季チームに復帰したMFマリオ・ゲッツェ(24)。国内リーグを制した2010―11年シーズンに他チームを震撼させたコンビ復活で、ホーム公式戦9連勝中の難敵スポルティングに挑んだ。

 開始直後、香川がいきなりFWオバメヤンに絶妙なスルーパスを供給してチームの攻撃のリズムを作ると、前半9分に中央のゲッツェから浮き球のパスを受けたオバメヤンが抜群のトラップから鮮やかな先制弾。同43分には中盤でパスカットしたMFバイグルがミドルシュートでネットを揺らして2点リードで折り返した。

 後半はスポルティングが前がかりになり、香川がボールを奪われてピンチを招くシーンもあった。22分にはバックパスをGKビュルキが手で処理してしまい、ペナルティーエリア内での間接FKから1点を返されたが、最後まで集中を切らさずに勝ち切った。

 決定的な仕事こそなかった香川だが、CLフル出場は14年10月1日アンデルレヒト戦以来。試合勘の欠如が日本代表での活動にも影響し、W杯アジア最終予選でまだ戦力になりきれていないことを思えば、この試合の意味は大きい。ケガ人の復帰状況次第ではあるが、今後に向けて明るい兆しが見えたのは確かだ。