日本代表は6日、ロシアW杯アジア最終予選イラク戦(埼玉)に2―1で勝利。後半アディショナルタイムのMF山口蛍(26=C大阪)による勝ち越し弾が、チームと負ければクビのバヒド・ハリルホジッチ監督(64)を救った。一方で、エースFW本田圭佑(30=ACミラン)は精彩を欠いて無得点。試合後は反省の言葉を口にしたが、W杯切符獲得に向け“ハリル流改革”をぶち上げた。

 負けたら限りなくW杯が遠のく一戦。これまで幾多のピンチを救ってきたエースは、絶好機を含めチーム最多となる4本のシュートを放った。しかし、自慢の決定力は鳴りを潜め、ノーゴールで後半36分に交代した。

 試合は劇的勝利で勝ち点3をゲットした。辛うじて“戦犯”を逃れたが「僕自身2点目を取るチャンスはあった。その辺を前向きに反省できるのは勝ちゲームのみ」と胸をなで下ろした。所属クラブで出場機会が激減し、コンディション不良をうかがわせたが「体が動いていない感じはしなかった。普段、試合に出ているとか出てないとかは気にならなかった」と強気の姿勢を崩さなかった。

 個人的な課題を抱えながらも、本田は先を見据えて苦戦の続くハリルジャパンの現状を冷静に分析した。

「監督の言っていることは理解できるけど、言っていることだけでサッカーはできない。監督の指示以外のことが起きたときの対応は、選手がピッチで感じたことをやらないといけない。プラスアルファのところは選手と話しながら、戦術のところは付け加える意識はしている」

 場合によっては、指示通りの忠実なプレーを求める指揮官に“造反”してでも臨機応変な対応が必要というわけだ。実際にイラク戦に向け、ハリルホジッチ監督はいつものように、縦へ速い仕掛けを要求したというが、攻め切れなかったシーンも目立った。

 エースは「もっと(試合を)コントロールしていればこんなに苦戦しなかった。もっと相手がうざいと思うくらい(パスを)回さないといけない。本当は向こうをバカにしたいけど、戦術的に求められていない。そこはプラスアルファの部分かもしれない。監督が嫌う部分ではあるかもしれないけど、そこの調整が必要になってくる」

 修羅場をくぐり抜けてきた経験から、このままでは最終予選を勝ち抜けないと感じているのだろう。ハリルホジッチ監督の戦い方で勝てなければ、自分たちでやるしかないのだ。

 次はB組最大の強敵であるオーストラリアとの大一番(11日、メルボルン)だが、勝ち点1以上がほしいところ。難敵相手に本田が起こそうとしている“改革”は、効果を発揮するのだろうか。