日本代表の10番はどうなるのか。ロシアW杯アジア最終予選イラク戦(6日、埼玉)に臨むハリルジャパンのMF香川真司(27=ドルトムント)はクラブで出番を失い、来年1月の移籍がささやかれている。公認資格を持つ代理人は香川の“選手価値”を示す移籍金が急落していると指摘。2012年にマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)へ移籍した全盛期の半額にも満たないという。このままでは“行き先”も限られてくるが…。

 昨季公式戦で13ゴールと好調だった香川も、今季はベンチが定位置となった。欧州チャンピオンズリーグのレアル・マドリード(スペイン)戦では屈辱のベンチ外。負傷していたドイツ代表MFマリオ・ゲッツェ(24)が戦列に戻り、チームの要だった同MFマルコ・ロイス(27)の復帰も近づき、余剰戦力になりかねない状況だ。

 すでに来年1月の移籍市場での移籍も噂されているが、ブラジル人選手を欧州に送り込んでいる公認選手代理人はこう見ている。「一般論になるけど、27歳という選手として脂の乗っている時期に試合に出ていないと、市場価値はかなり下がる。香川の現状なら移籍金は10億円にも届かない。そもそも10億円出すクラブはないし、良くて8億円くらいだろうな」

 欧州サッカーの専門サイト「トランスファー・マーケット」は、マンチェスターUに移籍した2012年6月の時点で移籍金を1870万ポンド(約24億3000万円)と査定していた。今季の低迷もあって現在の市場価格は、23歳だった全盛期の約3分の1まで下落するという見解だ。

 香川とドルトムントの契約は2018年の夏まで。前出の代理人は活躍していない選手の価値が下がっていくのは当然とした上で「移籍金はクラブ間の思惑でも大きく変わるから、あとはドルトムント次第。オファーが来ても香川を残したいと考えるのか。それともいい条件ならば売ってしまうのか」と解説した。

 その一方で、香川に興味を示すクラブについては「冬の市場で獲得オファーは来ると思うけど、下位クラブからしか届かないだろうな。それに香川がドルトムントを出ると決断したとしても冬に完全移籍はしないだろうから、現実的にあるとすればレンタル(移籍)しかない。ドイツで2部に降格しそうなクラブとか…」。香川は「今は我慢の時期。自分自身(調子が)悪いわけではない。結果を残した選手が試合に出るのは当たり前。その競争に勝つため、チャンスをうかがっている」と現状打破への強い決意を語っているが、このままベンチ生活が続くならそろそろ周囲が慌ただしくなりそうだ。