日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(64)が自身のクビのかかる2連戦に向けて超厳戒態勢だ。日本サッカー協会は29日、ロシアW杯アジア最終予選イラク戦(10月6日、埼玉)と同オーストラリア戦(同11日、メルボルン)に臨む日本代表メンバー26人を発表した。結果次第で更迭の可能性が浮上する厳しい状況の中、指揮官が“不穏な行動”に出て、チーム内には早くも危うい空気が漂っている。

 1日のホーム・UAE戦でまさかの逆転負けを喫した試合後、ハリルホジッチ監督は「何人かの選手は失敗した。恥ずかしさを感じていることだろう」などと選手批判を展開。“タブー”を犯して選手との関係が急速に悪化しているが、腹心の代表スタッフともぎくしゃくし始めた。

 日本代表メンバー発表前に様々な選手の名前がメディアで報じられる中、情報流出に神経をとがらせる指揮官は代表スタッフを呼び出し厳しく追及。ある代表スタッフは「犯人捜しをされたよ」と険しい表情でため息をついた。

 指揮官の過剰反応に疑いをかけられた腹心たちが動揺し、信頼関係が揺らいでいく…。組織が崩壊するお決まりのパターンだ。この日の会見でも「私が全て答えるので、私たちのコーチ、関係者にはしゃべらないようにしてほしい」と周囲をけん制するなど、ピリピリムードを漂わせた。

 さらには、会見で取り乱す場面も目立った。自らが言及した欧州組の長距離移動や代表合宿期間の短さを報道陣に「言い訳ではないのか?」と指摘されるとプッツン。「それは間違いだ! その意見を言うあなたに能力はあるのか」と逆ギレした。こうした迷走ぶりは指揮官が追い詰められている証拠だ。

 実際、日本は10月の2戦で勝ち点を積み上げないと、W杯出場が危うい状況。国際サッカー連盟(FIFA)ランキング128位のイラク戦では確実に勝ち点3を取り、同45位と格上のオーストラリア戦でも負けは許されない。ある公認代理人は「この2試合で負ければ、協会も監督交代を考えるよ」と指摘するように、結果次第で解任危機に直面する。

 ハリルホジッチ監督は「負けたときは私が責任を持つ」と強調する一方、辞任の可能性について問われると「笑えない質問だ。皆さんが私のほかに違う監督を連れてきたいのならば別の話だが、まだやるべきことはある」と気色ばみ、ナーバスになっている様子をうかがわせた。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長(58)は「重要な戦いになる。国民やサッカーファンの期待に応えられるように緊張感を持って臨みたい」と話したが、ハリルホジッチ監督の明日なき戦いは続く。