【ドイツ・ドルトムント発】サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)1次リーグ第2節8試合が27日(日本時間28日)に各地で行われ、昨季優勝のF組レアル・マドリード(スペイン)は敵地でドルトムント(ドイツ)と2―2で引き分けた。エースFWクリスチアーノ・ロナウド(31)はチームの不協和音を吹き飛ばす鮮やかな先制ゴールを奪ったが、日本代表MF香川真司(27)がベンチ外だったドルトムントに粘られて逃げ切りに失敗。鬼門でまたも苦汁を飲まされた。

 白い巨人にとって、やはりドイツの地は鬼門だった。CL11回の優勝を誇るレアルだが、東西に分裂していた時代も含め、ドイツでの試合は過去26試合でたったの1勝。ドルトムントのホーム・BVBシュタディオンでは5戦して2分け3敗の未勝利と苦手としていたが、そのジンクスを打ち破ることはできなかった。

 試合前からチーム内には不穏な空気が漂っていた。24日の国内リーグ戦・ラスパルマス戦で途中交代させられたC・ロナウドが、ジネディーヌ・ジダン監督(44)の采配を批判。指揮官はドルトムント戦を考慮した交代だったと説明し、26日の会見でも「私はバカではないし、クリスチアーノだって頭は良い。私たちは同じものを目指している」と話したが、2人の関係を危ぶむ声も出始めていた。

 試合は攻守が激しく入れ替わるスピーディーな展開だったが、前半17分にレアルの攻撃的布陣が機能。左サイドでパスを受けたFWベンゼマからMFクロース、ハメス・ロドリゲスとつなぎ、ハメスのノールックパスに反応したFWベイルがエリア内で絶妙なヒールパス。最後はC・ロナウドが豪快に右足を振り抜き、先制点を奪った。ベンチに駆け寄ったエースはジダン監督とも笑顔でハイタッチ。チームのムードは回復したかに思われた。

 だが、その後1点ずつ取り合って迎えた後半42分、左サイドを崩されると逆サイドでフリーになっていたFWシュルレに決められて痛恨の失点。試合終了の笛が鳴ると、ジダン監督もC・ロナウドも悔しさを押し殺すようにロッカー室に消えた。敵地での勝ち点1は悪くないが、勝利が欲しかった王者にとっては消化不良の一戦となった。