欧州チャンピオンズリーグ(CL)の2016―17シーズンが13日(日本時間14日)に、いよいよ開幕する。今季はFW岡崎慎司(30=レスター)、MF香川真司(27=ドルトムント)、MF清武弘嗣(26=セビリア)の日本代表3人が出場予定。上位進出への期待がかかるが、初出場の岡崎にとっては、いきなり窮地に追い込まれた中での戦いになる。クラブはもちろん、代表でも生き残りをかけた大会で一発逆転はあるのか――。

「プレミアだけでなくCLも全力で頑張りたい」と強い意気込みを見せる岡崎だが、ようやくたどり着いた最高峰の舞台は簡単な戦場ではない。

 レスターはオフに、ナイジェリア代表の快足FWアーメド・ムサ(23)に加え、今夏の移籍期限ギリギリにクラブ史上最高額となる移籍金3000万ユーロ(約34億5000万円)でアルジェリア代表FWイスラム・スリマニ(28)を獲得。今後はスリマニの優先起用が確実とみられる。岡崎は10日のリバプール戦でも前半終了後に交代を命じられるなど精彩を欠いており、レギュラー争いで厳しい立場にいる。

 崖っ縁に立たされているのはクラブの中だけではない。通算49ゴールをマークしている日本代表でもレギュラーの座は当面安泰かと思われたが、ロシアW杯アジア最終予選がスタートすると、初戦のUAE戦(1日、埼玉)で途中交代。2戦目のタイ戦(6日、バンコク)では先発落ちして、そのまま出番がなかった。

 代表に選手を送り込むJクラブの関係者は「ハリルホジッチ監督の岡崎に対する評価は9月シリーズで急激に下がったようだ。コンディショニングの面やメンバーを変えていく中でのバランス、そして新しい選手の評価など、いろんな理由があるのでは」と説明する。クラブでの開幕前の調整、代表合流で強いられる長距離移動での体調管理において、バヒド・ハリルホジッチ監督(64)は岡崎に不満を抱いており、代表合宿中に苦言を呈することもあったという。

 FW浅野拓磨(21=シュツットガルト)の急成長もハリルホジッチ監督の方針転換に拍車をかけている。

 さらに、決定力のあるFW武藤嘉紀(24=マインツ)の1トップ構想も浮上。指揮官はロシアW杯で32歳になる岡崎の年齢面も考慮し、最終予選で大ナタを振るう覚悟を固めつつある。

 岡崎はこうした苦境を誰よりも理解している。タイ戦後に「(代表から)削られるのは俺ら」と口にしたのは偽らざる本音だろう。

 もちろん、このまま終わるつもりはない。目前に迫ったCLは一発逆転に向けた絶好の舞台。ハリルホジッチ監督は欧州最高レベルの選手が集まるCLでのプレーを重視しており、そこで活躍すれば評価がV字回復する可能性はある。

 10―11シーズンにDF内田篤人(28)のシャルケ(ドイツ)が4強入りしたのを最後に、CLで日本人選手は活躍できていない。イングランド勢も最近は不振で、11―12シーズンのチェルシーの優勝以降は決勝進出チームすらなし。イングランド王者の看板も背負う岡崎としては、ハリルジャパンでエースの地位を取り戻すだけでなく、サッカーの母国の復権も懸けた戦いになりそうだ。