ハリルジャパンの窮地を救うのは“オレ様ヘッド”だ。日本代表は痛恨の黒星を喫したロシアW杯アジア最終予選初戦のUAE戦(1日)で決定力不足が浮き彫りになったが、一方で勝負強さを見せたのが先制ヘッドを決めたFW本田圭佑(30=ACミラン)。同第2戦のタイ戦(6日、バンコク)からはセットプレーをはじめとした得点機で本田にボールを集めることになりそうだ。

 負けたチームは突破確率0%という大事な最終予選初戦で、格下のUAEにホームで苦杯をなめた日本。もしタイ戦で連敗を喫すればバヒド・ハリルホジッチ監督(64)の解任の可能性も浮上する。まさしく窮地だ。

 UAE戦では誤審騒動もあったが、一番の敗因は日本の決定力不足。シュート数で22対9と圧倒しながらわずか1点しか奪えないのだから負けて当然とも言える。そんな苦境の打開策として指揮官は、W杯予選で出場7試合連続ゴール中と無類の勝負強さを誇る本田をストライカーに専念させるつもりだ。

 ハリルホジッチ監督は「日本には大きな選手がいないので、本田はペナルティーエリアの中にいて、ヘディングに関わってもらうほうがいいかもしれない」。これまでセットプレーは本田がキッカーを担ってきたが、MF柏木陽介(28=浦和)やMF清武弘嗣(26=セビリア)に任せ、最終予選では常にゴール前で合わせる側に回る。

 本田は現メンバーの攻撃的選手で最長身の182センチと強靱なフィジカルを併せ持ち、UAE戦でも清武のFKに合わせて強烈ヘッドを叩き込んだ。貴重な得点源のセットプレーではキックよりもその“頭”のほうが武器になると指揮官は判断。決定力不足の現状を踏まえて本田をターゲット役に完全移行する構えだ。

 最終予選は1点の重みが大きく、セットプレーの重要度も増す。体格の大きいオーストラリア選手などと互角に太刀打ちできるのは前線では本田くらいで、特に平均身長で日本を下回る小柄な選手の多いタイには大きな効果がありそうだ。

 本田への期待は、セットプレーやヘッドに限った話ではない。ハリルホジッチ監督は「彼は足元に加え、背後にも走れる。背後を取ろうと努力し、ペナルティーエリアの中で必死に点を取ろうとする。パワーもある」と点取り屋としての資質を評価。イレブンからも「クロスを上げる側からしても、圭佑君の決定力はすごく心強い」と絶大な信頼を受けている。

 困ったときの頼みの綱は、やっぱり本田しかいないのか。