問題児を“追放”した影響はあるのか。日本サッカー協会は25日、ロシアW杯アジア最終予選のUAE戦(9月1日、埼玉)及びタイ戦(同6日、バンコク)に臨む日本代表メンバー24人を発表した。バヒド・ハリルホジッチ監督(64)は、Jリーグで監督に反抗的態度を見せたFW金崎夢生(27=鹿島)を代表に選出しなかったが、チームへの影響は必至。ストライカー陣に問題を抱えており、大事な戦いに向け弊害となりかねない。

 いよいよ始まるW杯アジア最終予選。6大会連続出場に向けた戦いを前に、ハリルホジッチ監督は愚行を働いた金崎をバッサリと切り捨てた。「リストに入っていたが、あのような態度を取るとA代表には入れない」と怒りをにじませて招集外にした経緯を説明した。

 20日のJ1湘南戦でのこと。途中交代となった金崎はベンチ前で石井正忠監督(49)との握手を拒否し罵倒。さらに指揮官に詰め寄ろうとしたところをスタッフに制止された。明らかな造反行動にハリルホジッチ監督は代表選手にふさわしくないと断罪。その上で「この先のことは、彼に関しては全く考えていない」と、代表から“無期限追放”の方針を示した。

 クラブ指揮官に反発した選手が日本代表から外されたことに、日本代表OBは「それは当然なこと」と指摘。これから過酷な戦いに臨むチームの組織力や結束力を維持するためにも反抗的な態度を取る選手は必要ないという。しかし一方で、金崎を外したハリルジャパンには大きなリスクが生じかねないのだ。かねて指揮官は、1トップを張れる貴重な選手と金崎を評価。代表に招集し続け、レギュラーを争うレベルにまで台頭した。

 今季Jリーグでも9得点と好調を維持し、他Jクラブ関係者も「マークされても安定して力を発揮するようになった」と絶賛。そんな強力な得点源を失うからだ。

 特にストライカー陣は万全とは言い難い状況にある。右ヒザ手術から復帰したFW武藤嘉紀(24=マインツ)は開幕前に左ヒザや腰を負傷。指揮官も「彼がどのような状態か分からない」と表情を曇らせた。FW宇佐美貴史(24=アウクスブルク)についても「疲労はきている。コンディションが分からない。そこは不安なところ」と頭を抱えていた。

 また「海外組が先発で出ていない」と嘆くように、エースFW本田圭佑(30=ACミラン)はイタリア1部リーグ開幕のトリノ戦(21日)で出番なし。FW岡崎慎司(30=レスター)はイングランド・プレミアリーグのアーセナル戦(20日)こそ先発したものの、プレシーズンからベンチを温めることが多く、状態が不安視されている。

 ただでさえ決定力に大きな問題を抱えるハリルジャパン。金崎の招集外は仕方ない判断だったとしても、その影響がW杯最終予選にも及びかねない。