三重苦に動じない 手倉森監督驚異の思考回路

2016年06月21日 16時30分

 日本サッカー協会は20日、国際親善試合U―23南アフリカ代表戦(29日、長野・松本)に臨むU―23日本代表メンバー21人を別表の通り発表した。7月1日の五輪メンバー発表に向け、最終テストの場となる。一方でUー23代表を取り巻く状況は厳しく、ネガティブ要素が満載だが、手倉森誠監督(48)は持ち前のポジティブ思考を崩していない。“三重苦”を前にしても変わらない指揮官独特の考え方とは――。

 

 手倉森監督は南アフリカ戦に向け「リオで躍進する可能性をこのメンバーで表現してもらいたい」と意気込みを語ったが、たやすく思い通りにいく状況とは言いがたい。

 

 五輪前哨戦という位置付けだった5月のトゥーロン国際大会(フランス)は1勝3敗で1次リーグ敗退となり、世界との差を痛感させられた。さらにオーバーエージ(OA)枠での強化も中途半端。FW本田圭佑(30=ACミラン)らA代表主力の招集はかなわず、A代表に定着していないDF藤春広輝(27=G大阪)とDF塩谷司(27=広島)に決定。残るはFW興梠慎三(29=浦和)の招集が濃厚だが、クラブ側が拒否すれば1枠を放棄する可能性もある。しかも、チームの主力にケガ人が続出して戦術を深められなかった。

 

 まさに悪夢のような“三重苦”だが、指揮官は全く動じず、あくまで前向きな姿勢を貫いている。トゥーロン国際前には「勝って警戒されても困る」と言ってのけ、実際に惨敗を喫しても大きなショックを受けた様子はなかった。相手にスキが生まれがちなノーマークの状態でナイジェリア、コロンビア、スウェーデンと1次リーグで対戦できる…とプラスに解釈したのだ。OA枠でも同じ考え方が成立するそうで、本田やイングランド・プレミアリーグで優勝したレスターのFW岡崎慎司(30)を選べば、相手の警戒度が格段にアップするだけに結果オーライだという。

 

 ケガ人に関してもDF松原健(23=新潟)、DF室屋成(22=FC東京)、FW中島翔哉(21=同)、FW鈴木武蔵(22=新潟)といった主力組が所属クラブで実戦復帰。指揮官は「ケガからの復帰組は全力でやれるかどうか。本大会は連戦があり、人数が絞られた中で戦い抜けるフィジカル、メンタルを持っているか。その計算をした上で絞り込みをしていきたい」。ケガ人が五輪メンバー選考の対象になるほどに回復したことも、ポジティブレベルをアップさせているのだ。

 

 現に、苦戦必至と見られた1月のリオ五輪アジア最終予選を兼ねたU―23アジア選手権(カタール)でも、マイナス思考を排除して神がかり采配を連発し、優勝を果たした。苦境にも前向きな姿勢を失わない手倉森監督が、リオ五輪で再び“奇跡”を起こせるか。