ハリルジャパンが失態続きの守備陣を再編だ。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(64)が9日に欧州選手権(10日開幕、フランス)の視察のため、成田空港からパリへ向けて出発した。初タイトルを逃したキリンカップでもろさを露呈したDF陣に怒り心頭の指揮官は、9月から始まるロシアW杯アジア最終予選に向けて、若手との大幅入れ替えを示唆した。

 欧州選手権を視察した後もそのままフランスで休暇を過ごすハリルホジッチ監督は、2か月近く日本を離れる。その前に、どうしても言っておきたいことがあった。守備陣への苦言だ。

 笑顔で空港に現れた指揮官は「フィジカルの戦いに持ち込まれたとき、非常に難しくなる」と切り出すと、完敗したキリンカップ決勝ボスニア・ヘルツェゴビナ戦(7日)を振り返り、語気を荒らげてこうまくし立てた。

「18番(FWミラン・ジュリッチ=26、チェゼーナ)が得点したとき、我々は4人いたのに少しジャンプしただけで負けた。2失点目は最悪で、一人のパスで全員が突破された。あのような失点は絶対に許されない」

 センターバックでコンビを組むDF吉田麻也(27=サウサンプトン)とDF森重真人(29=FC東京)は世界基準の相手に全く歯が立たず、格下ブルガリア戦でもミスから2失点を招くなど低調なプレーが続く。指揮官も「ボスニア戦で分かったが、A代表にはパワーが足りない。パワーが必要になってくる」とW杯アジア最終予選や本大会を戦い抜くことはできないと痛感する。

 そこで新たな守備の要にフィジカル自慢の若手の抜てきを検討し始めたのだ。中でも指揮官のイチ押しはU―23代表DF植田直通(21=鹿島)。186センチ、77キロの体格に加えて気迫あふれる手倉森ジャパンの闘将にベタぼれで「植田に関しては、ポテンシャルがかなりある。パワーがある。A代表候補だ」と9月から始まるロシアW杯最終予選に招集する構えだ。

 さらにDF昌子源(23=鹿島)やU―23代表のDF岩波拓也(21=神戸)らもリストアップする。すでに攻撃陣に関してはFW宇佐美貴史(24=G大阪)、FW浅野拓磨(21=広島)ら若手からベテラン回帰を示唆(本紙既報)したが、守備面は真逆。怒りの指揮官は、今後DF陣の再編を加速させていく。