“侍ストライカー”がハリルジャパンに緊急提案だ。キリンカップ(6月3日=ブルガリア、同7日=デンマークまたはボスニア・ヘルツェゴビナ)に臨む日本代表は29日、海外組合宿を切り上げ愛知・豊田へ移動した。絶好のテストになる欧州列強との戦いに向けて、FW岡崎慎司(30)が注目発言。イングランド・プレミアリーグをミラクル制覇した所属のレスターのような超守備的戦術の導入を求めている。

 9月から始まるロシアW杯アジア最終予選に向け、欧州強豪国との腕試し。バヒド・ハリルホジッチ監督(64)が「第2段階」と位置づけるタイミングで、岡崎はチームが進むべき新たな道として秘めていた戦略を本紙に打ち明けた。

「これまでは攻守の切り替え、いかに速く攻撃に入り、仕掛けていくか。そういった部分に意識の重きを置いてきた。でも、これからは相手が強くなる。うまくいかないことも出てくる。そこで守備の意識を強くしていかないといけない。守備に重きを置いた現実的な選択肢というものも考えていかないといけない」

 近年アジア各国は急激に力を伸ばしており、5大会連続W杯出場中の日本も苦戦は免れない。確実に本大会切符をつかむためには何が必要なのか。一つの答えが、岡崎をはじめFW本田圭佑(29=ACミラン)やMF香川真司(27=ドルトムント)ら攻撃陣が積極的に守りに加わるという守備的なスタイルの導入だ。

 これはまさに岡崎が所属するレスターの基本戦術。自身もFWながら守備ラインまで戻ってチームに貢献しているが、その働きで世界最高峰リーグのビッグクラブ相手にジャイアントキリングを起こし続け、奇跡の優勝まで果たした。自身の経験から、日本代表もレスター流を取り入れるように緊急提言したのだ。

 一方でハリルホジッチ監督は「岡崎はレスターではDFだ。しかし日本代表はレスターとは違う。異なる役割を求める」と話しており、方針はかみ合わないようにも映る。しかし、指揮官は「選手からどんどん意見を言ってほしい。どんな意見でも議論したい」とし、柔軟に意見交換する考えも持っている。

 すでに選手間でも、レベルが上がるW杯最終予選の戦い方を協議しており、岡崎が提案する“オカナチオ”についても話し合ったという。戦い方は指揮官が決めるものだが、試合中は選手の自主性も考慮される。岡崎の提言がすぐさま反映される可能性もありそうだ。