【リオ五輪 栄光へのメッセージ】U―23日本代表FW浅野拓磨(21=広島)が自身の肉体を“五輪仕様”に改造している。持ち味のスピードに加えて、ケガで離脱していた4月には体幹強化を重点的に行うなど、さらなるフィジカル強化にも着手。11日の国際親善試合(鳥栖)で対戦するガーナだけではなく、リオ五輪1次リーグで対戦するライバル国の屈強なDFからゴールを量産する構えだ。

 リオ五輪アジア最終予選を兼ねた1月のU―23アジア選手権(カタール)決勝で、宿敵・韓国から2ゴールを奪って優勝に貢献した浅野が復権に燃えている。

 3月に左足足底筋膜炎、同月末には右腸腰筋損傷で戦線を離脱し、今月に実戦復帰したばかり。リオ五輪メンバー入りに向け「ケガで来れなかったぶん危機感を感じているので、しっかりアピールしたい。11日の試合もそうだし、自分のチームに帰ってからもそう。FWはゴールという結果を残していくことが大事」と気合十分だ。

 そんな思いは行動にも表れた。リハビリ中はピッチを走り回る動きができないため、体づくりに重点を置いた。「体幹(トレ)はやってきましたね。普段できなかったことを、毎日できるようになったと前向きにとらえて取り組んできた」。自身の持ち味であるスピードを殺さぬよう、日々1時間30分~2時間みっちり体幹トレをこなしてきたという。

 すべてはリオ五輪でフィジカルに勝る世界の強豪に当たり負けしない体にするため。チームメートのナイジェリア出身FWピーター・ウタカ(32)の存在が、フィジカル強化の意識をより強くさせたという。

「ウタカさんは日本人ではあり得ない体をしている。そういう相手とやることはどういうことか考えなくてもわかる。そのためにすべきことはある」

 トレーニングを始めてから1か月ほどとあって、効果は「あんまり感じてない」と言うが「試合を重ねていくうちにわかってくると思う。これからも継続してそれを感じるようにやっていきたい」。復帰戦となった4日のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)FCソウル戦ではいきなりゴールを奪い、トレーニングの成果を証明した。A代表主力のFW本田圭佑(29=ACミラン)やDF長友佑都(29=インテル)は肉体強化で世界レベルのパフォーマンスを披露するまでに成長した。将来を期待される若きスピードスターも、その仲間入りを果たせるか。