五輪メダル獲得を目指す手倉森ジャパンに最大の試練が訪れた。リオ五輪サッカー男子1次リーグ組み合わせ抽選が14日に行われ、6大会連続10度目の出場となる日本はナイジェリア、コロンビア、スウェーデンと強敵が揃うB組に入った。各大陸屈指の実力を持つ相手に加え“魔境”での試合から長距離移動が待ち受ける最悪の抽選結果。ライバル国が超強力布陣を敷いてくる可能性も高く、厳しい戦いとなるのは確実だ。

 抽選前のシード分けで第1ポットに組み込まれた日本は、開催国ブラジル、前回ロンドン大会王者のメキシコ、アテネと北京で大会連覇したアルゼンチンとの同組を回避。組み合わせ次第では上位進出の可能性も高いはずだったが、そんな希望はあっという間に絶望に変わった。

 1次リーグでは同じ大陸のチームが同居しないルールのため、第2ポットはナイジェリアかホンジュラスの2択。ここでアフリカの雄・ナイジェリアが入ったことで日本は一気に奈落の底へ落ちた。続く第3ポットはアフリカ勢の南アフリカが除外され、スウェーデン、フィジー、ポルトガルの3択となり、欧州予選1位のスウェーデンの同組が決定。同大陸同士の対戦は避けるため、最後の第4ポットには南米のコロンビアしか残っておらず、最悪のシナリオが完結した。

 初戦で対戦するナイジェリアはU―23アフリカ選手権で優勝を果たした強豪。今季の欧州チャンピオンズリーグで4強に躍進したイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティーで頭角を現したFWケレチ・イヘアナチョ(19)と、名門アーセナルで将来のエース候補と嘱望されるFWアレックス・イウォビ(19)の強力2トップの破壊力は抜群だ。

 2戦目のコロンビアは、ブラジルW杯の日本戦で先発出場したMFファン・キンテロ(23)を中心に個人技の高い選手がズラリ。さらに同大会で得点王に輝いたMFハメス・ロドリゲス(24)が所属のレアル・マドリード(スペイン)のジダン新監督の体制で構想外になっており、売り込みも兼ねてクラブ側がOA枠での出場にゴーサインを出す可能性もある。

 最終戦のスウェーデンは欧州予選で並み居る強豪を撃破して、堂々の1位突破。世界屈指のFWズラタン・イブラヒモビッチ(34=パリ・サンジェルマン)がリオ五輪出場に意欲を見せており、招集されれば最大の脅威となることは間違いない。しかもB組に入ったことで、1次リーグを2位で突破すれば…準々決勝ではA組1位突破が濃厚な開催国ブラジルと当たる。

 対戦相手だけでも“死の組”だが、これに加えて“死のロード”が待ち受ける。初戦と第2戦が行われるのは北部のアマゾンに近いマナウス。感染症も多く“魔境”と呼ばれるほど環境は過酷。大会期間の8月は気温30~40度、湿度95%程度になることが予想され、ブラジルW杯では劣悪なピッチも話題になった。3戦目は約2600キロも離れた東部サルバドル。両都市間の気温差は5度前後あり、体調維持が困難だ。

 手倉森監督は「突破できれば、てっぺんまで登っていけそうな可能性を感じるグループ。6試合を戦いたい」と野心を隠さないが、アジア1位での出場とあってライバル国のマークも厳しい。初戦で当たるナイジェリアのシアシア監督は「強豪がいない」と早くも“上から目線”。コロンビアのレストレポ監督は「日本は規律正しく集中力が高い上、技術も優れている」と警戒を強める。日本は奇跡を起こせるのか――。