ロシアW杯アジア2次予選シリア戦(29日、埼玉)に臨む日本代表では、攻撃の要となるトップ下のポジション争いが過熱している。10番を背負うMF香川真司(27=ドルトムント)の不振が引き金となっているが、元日本代表MF前園真聖氏(42=本紙評論家)は候補選手たちを酷評。9月から始まるW杯最終予選に向けて、“トップ下問題”がハリルジャパンの最重要課題と指摘した。

【前園真聖 ゾノの焦点!】最終予選に臨む日本代表は、24日のアフガニスタン戦のスタメンにMF清武弘嗣(26=ハノーバー)、MF原口元気(24=ヘルタ)を抜てきしました。ハリルホジッチ監督からトップ下のポジションで不振にあえぐ香川との競争を求められた2人でしたが、結論から言うと、残念ながら「不合格」です。

 その理由は、誰もが納得する結果を出せず、周囲との巧みな連係も見せられなかったこと。さらに自分の長所を十分に発揮できなかったからです。少し厳しい見方かもしれませんが、相手は格下で、ある程度は自由にプレーできる状況にありながらも大きなインパクトを残せなかった。これが彼らの評価になります。

 代表は基本的に短期間の活動。限られた時間で調整しなければなりません。その中でも国内外を問わずどんな環境でも克服し、自分の持てる力を出し切る。さらに勝利を追求することが求められています。それが代表選手の宿命なので、彼らが見せたパフォーマンスには、指揮官も疑問を抱いたはずです。

 レギュラーを奪取する貴重な機会でしたが、クラブでいくら好プレーを見せても代表に呼ばれてダメならアウト。もっとがむしゃらな部分をアピールしてほしかったですし、はっきり言えば“ポスト香川”のチャンスを逃し、今後、ハリルホジッチ監督の選手選考にも影響してくるのではないでしょうか。

 一方で、24日の試合に途中出場した香川もよくなかったです。信頼を取り戻すにはアピールが必要でしたが、特に見せ場はなし。本来10番を背負う選手は“ここ一番”という場面で結果を出せる勝負強さがないと重責を果たせません。この辺りにもかねて指摘される香川の精神面の弱さが出ています。

 香川に再浮上の兆しが見えず、代役探しにも失敗。9月から始まるW杯アジア最終予選に向け、ハリルジャパンにとっては深刻な問題になってくるでしょう。29日のシリア戦で先発が予想される10番は、逆境をはね返すパフォーマンスを見せてくれるでしょうか。