日本サッカー協会の大仁邦弥会長(71)が25日、退任を前に報道陣と最後の定例懇談会を開いた。2012年6月に就任。4年近くの任期を振り返り「ずっとしんどかった。いろんなことが起こってくるのでね…」とまず口をついて出たのは、苦労の絶えない“激務”の部分だった。


 14年末に起きた前日本代表監督ハビエル・アギーレ氏(57)の八百長疑惑は世間を揺るがす大騒動になり、最終的には解任を決断。昨年は国際サッカー連盟(FIFA)で数々の汚職事件が明るみに出るなど、続出したスキャンダルに心労も続いたようだ。


 27日の退任後は名誉会長となるが、気がかりは9月からロシアW杯アジア最終予選に臨むハリルジャパンだ。なでしこジャパンのリオ五輪予選敗退を引き合いに出して「バランスが必要。女子は(優勝した)ドイツW杯世代が偉大すぎてなかなか変えられなかった。男子もロシアW杯では年齢が上がってくる」と“高齢化”を危惧。世代交代の必要性を感じている。


 大仁会長がキーマンに挙げたのは、新たに技術委員長に就任する西野朗氏(60)だ。

「我々としてもほしい人材だった。世界との戦いも経験している。うまく機能してくれればと期待している」。西野氏は1996年アトランタ五輪でU―23日本代表を率いてブラジルに勝利した“マイアミの奇跡”を演出。若手の発掘や指導に定評があり、A代表強化の大きな力になるというわけだ。


 協会が三顧の礼で迎えた新技術委員長に、最難関とも言える問題の解決を託した。世代交代の断行へ向け、西野氏の手腕に注目が集まる。