ハリルジャパンがロシアW杯アジア最終予選に進出決定。9月からロシア行きをかけた注目の戦いが始まるが、日本代表にはもう一つ大きな話題がある。FW岡崎慎司(29=レスター)は24日のアフガニスタン戦で国際Aマッチ通算48得点目を決め、年内にも元日本代表FW三浦知良(49=J2横浜FC)の持つ通算55ゴールを上回る勢い。この“キング超え”の偉業が、各方面で賛否両論を巻き起こしそうな雲行きなのだ。

 岡崎は25日にさいたま市内で調整を行った。29日のロシアW杯アジア2次予選シリア戦では、節目の国際Aマッチ通算100試合出場がかかる。「代表初戦のような気持ちで結果を出したい。(4月16日に)30歳になるベテランが、それでいいのかわからないけど、そういう選手を見て若いやつがつなげてくれたら」と気合十分だ。

 シリア戦に出場したうえで「2点取れば(通算)50点。やっぱり、そこへ行ってみたい」(岡崎)と意欲を語ったが、その先に見据えるのは元日本代表のエース、カズの記録。日本代表歴代2位(※日本サッカー協会の記録、国際サッカー連盟の記録は日本人1位)の通算55ゴールだ。

 ハリルジャパンはシリア戦以降、6月のキリンカップや9月から始まるW杯最終予選など、年内に最大8試合を予定しており、岡崎の“キング超え”は時間の問題。大きな話題となるのは間違いないが、一方でサッカー界の“聖域”に踏み込むことになり、様々な意見が飛び交う可能性もある。

 実際に、元日本代表10番のMF中村俊輔(37=横浜M)は岡崎のゴール記録をたたえつつも、カズ超えについては「それは抜かなくていいでしょ(笑い)」。もちろんこれは冗談なのだが、偉大なカズに対するリスペクトの表れでもあるだけに、記録更新の際に各界からどんな反応が起きるかはわからない。

 プロ野球では、2013年にウラディミール・バレンティン外野手(31=ヤクルト)が王貞治氏(75=福岡ソフトバンクホークス会長)のシーズン最多本塁打記録(55本)を超えるまで、その数字に近づく選手が現れるたびに、記録更新をめぐって賛否両方で大きな議論となった。

 岡崎は代表選手でいる限り、今後もゴールを積み重ねていくはず。カズ本人は記録更新を歓迎すると見られるが、果たしてどんな状況を迎えるのだろうか。