想定外の“スパルタ指導”は海外組の影響か。日本代表の国内組合宿が7日に千葉県内で始まった。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場クラブの選手は過密日程を考慮して軽めの練習の予定だったが、ふたを開けてみれば初日から約2時間のフルメニューを消化。国内組の底上げを図るバヒド・ハリルホジッチ監督(63)の焦りが目立つ内容で、その裏には欧州組の苦しい現状が関係していた。

 昨年11月のロシアW杯アジア2次予選以来、約4か月ぶりの代表合宿。久しぶりの指導となったハリルホジッチ監督は、あり余っていたパワーを早速、選手たちにぶつけた。

 大声を張り上げながらドリブルの手ほどきをし、戦術練習では細かい動きまで身ぶり手ぶりで熱血指導を展開。約2時間にわたってハードメニューを選手に課した。

 その中で予定外だったのが、ACL出場クラブに所属する選手たちの扱い。合宿前に指揮官は「ACLを戦っているチームの選手には疲労も考慮している。それに、金曜に試合が待っている人もいる」と、過密日程による故障の危険性を考え、広島、G大阪、浦和、FC東京の選手の練習は軽めにする予定だった。

 結局、この日はACL出場選手もフルメニューを消化。あまりの過酷な内容に、G大阪DF藤春広輝(27)は「ガンバの3日分くらいの練習量だった。他のクラブの選手も2日分くらいだって言ってたし、きつかったですよ」と悲鳴を上げたほどだった。

 問答無用の“鬼指導”は、国内組を鍛えてチームの底上げを図りたいという指揮官の必死の思いの表れ。見方によっては焦りにも映るが、その裏には期待をかける海外組の苦しい台所事情がある。

「海外組と国内組の違いというのは、強く意識させられた。練習から質も違うという話もあったし、そのへんは国内組のメンバーも危機感を持ってやらないといけないというのはある」と代表イレブンの一人が明かすように、ハリルホジッチ監督の評価は欧州組と国内組の間に歴然とした差がある。

 そんな中で、欧州組はDF内田篤人(27=シャルケ)とFW武藤嘉紀(23=マインツ)が故障で離脱、MF香川真司(26=ドルトムント)は大不振と、主力に苦難が続いている。これが焦りに拍車をかけ、指揮官を予定外のスパルタ指導へと駆り立てたようだ。

 とはいえ、これで故障者が出たら本末転倒。ハリル流は、まだまだ波乱含みだ。