なでしこ 佐々木監督だけじゃなく選手間にも亀裂が…

2016年03月06日 06時00分

涙を流す大儀見(左)を励ます宮間

 リオ五輪の切符獲得がほぼ絶望となる受け入れがたい現実。なでしこジャパン主将の宮間は目に涙を浮かべながら「応援してくださってる方に申し訳ない。全てここにかけているので最後までやっていきたい」と話し、残り2試合も指揮を執る佐々木監督はサポーターに向けて「本当に皆さんに申し訳ない。全て僕の責任」と頭を下げた。


 昨年6月のカナダ女子W杯準優勝から約8か月で急激な弱体化。なでしこの大黒柱だった澤穂希さん(37)、正GKの海堀あゆみさん(29)が現役を引退し、同W杯で大活躍したMF宇津木瑠美(27=モンペリエ)が負傷欠場と戦力が低下したことに加え、MF宮間の不振も大きな原因となった。


 もちろん、主力を脅かすような若手が台頭せず、世代交代に失敗したこともあるが、何より深刻だったのは指揮官と選手の関係だ。カナダW杯後には、今回の予選を戦う主力選手が「(佐々木)則夫(監督)が監督を続けるなら、もう代表に行きたくない」と語っている。その時点から回復不能なほど指揮官の求心力は低下していた。


 約8年という異例の長期政権が続くなか、佐々木監督は“おやじギャグ”を封印するなど徐々にスタイルが変化。選手と距離を置くようになり“独裁色”を強めていった。指揮官と選手の間に亀裂があっては、戦術への共通認識を深められるはずはない。


 しかも、鉄壁のチームワークを誇ったイレブンの間にもすきま風が…。エースFW大儀見優季(28=フランクフルト)はこの日の敗戦後に「個人として負けることが何を意味するのか理解していたが、全ての選手が理解していたかといえばそうじゃない」と厳しい口調で語った。選手名こそ挙げなかったが、チームの内部がかなりギクシャクしていることをうかがわせた。


 現実に、五輪予選突破に向けチーム一丸や結束を強調しながら「自分のやるべきことだけやればいいと思う」と自己中心的な姿勢を見せた選手も複数おり、“予兆”はあった。リオへの道がほとんど見えなくなり、なでしこジャパンは空中分解。2011年ドイツ女子W杯で世界の頂点に立ってから5年。一つの時代が終焉を迎えた。