ロシアW杯予選を戦う日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(63)とリオ五輪代表を率いる手倉森誠監督(48)が1日に会談し、今後のメンバー選考について話し合った。ハリルホジッチ監督はリオ五輪のオーバーエージ(OA)枠への協力を約束したものの、主力組の五輪参戦は厳しい情勢。あくまで“一軍半”クラスの国内若手がOA選手の本命となりそうだ。

 都内のJFAハウスでハリルホジッチ監督、手倉森監督、日本サッカー協会の霜田正浩技術委員長(49)が約2時間にわたって会談した。五輪代表の候補にはMF遠藤航(23=浦和)やMF南野拓実(21=ザルツブルク)、FW浅野拓磨(21=広島)らA代表と重複するメンバーがおり、どちらのチームを軸に活動するのか“綱引き”が注目された。

 会談後、霜田委員長は「そういう可能性がある選手については、どちらに呼んだほうが日本のためになるのか。そういうすり合わせはした。その都度、その都度です」と説明。状況を見ながら必要度が高いほうを選択していく方針を確認した。

 五輪で24歳以上の選手を3人登録できるOA枠についても、ハリルホジッチ監督に説明。即戦力のA代表からの招集が基本線となるが「バヒドは『五輪で良い成績が出せるように全面的に協力したい』と言っていた。五輪の重要性を十分に理解している」(霜田委員長)とし、ひとまずゴーサインを出した。

 とはいえ、W杯予選を戦うA代表を最優先とする方針に変わりはない。五輪直後の9月にはW杯アジア最終予選が始まるため、A代表主力の海外組はもちろん、国内組のFW宇佐美貴史(23=G大阪)らレギュラー級の選手までハリルホジッチ監督がOKを出すのかは微妙なところだ。

 そこで浮上しているのはハリルジャパンに定着しきれていないボーダーライン上の選手たちだ。Jクラブの強化担当者は「五輪チームの戦力強化になるけど、A代表では喫緊の必要性はない選手が妥協点になるんじゃないか。東アジアカップ組とか」と指摘する。

 実力はA代表クラスながらハリルホジッチ監督が現時点で招集を考えていない“予備軍”の選手。国内組のみで戦った昨年8月の東アジアカップ(中国)に参加したFW永井謙佑(26=名古屋)、MF武藤雄樹(27=浦和)、DF米倉恒貴(27=G大阪)、MF谷口彰悟(24=川崎)らが有力候補に挙がる。

 ただ、世界の強豪と渡り合うには、心もとないだけにギリギリの調整がしばらく続きそうだ。