サッカー女子のリオ五輪アジア最終予選(29日開幕、大阪)に臨むなでしこジャパンは26日、大阪・堺市内で調整。五輪切符の獲得が至上命令となるなか、大黒柱だった澤穂希さん(37)が引退したことでキャプテンを務めるMF宮間あや(31)の負担が倍増している。そこで、イレブンは主将のサポートに動きだした。

 宮間は2012年2月に澤さんからなでしこジャパンのキャプテンを受け継いだ。それからはチームメートに積極的に声をかけながら、チームを引っ張ってきた。頂点には立てなかったものの、12年ロンドン五輪銀メダル、15年のカナダ女子W杯準優勝という結果に導いた。

 宮間を陰ながら支えたのが澤さんだった。困ったときに相談役となり、他のイレブンにも積極的に声がけして、宮間の負担や重圧を軽減してきた。しかし“レジェンド”は昨季限りで引退。リオ五輪の出場権がかかる大事な今大会は、何かと助けられた“アシスト”を期待できない。

 宮間自身は澤さん不在に、責任感をさらに強めている。このままでは、重責に押し潰されかねない状況だ。実際に「個人的には澤さんがいなくなって寂しい。(予選では)一つ負けても(五輪出場権が)厳しくなる。危機感を持ってやらないといけない」とコメントにも悲壮感が漂っている。

 追い込まれつつある主将をチームメートが黙って見ているわけがない。少しでも負荷を軽くするように協力していくという。長年ともにプレーしてきたDFリーダーの岩清水梓(29=日テレ)は「やれることはやってサポートしていかないといけない。自分だけが引っ張るというのではなく(DF陣は)熊谷(紗希=25、リヨン)も海外で経験を積んでいるし、近賀(ゆかり=31、INAC神戸)選手も代表にいるわけだし、みんなでやっていければいいと思う」と語った。

 これなら宮間が一人で問題を抱え込むような状況にはならない。負担が減れば、ピッチ上でのパフォーマンス向上にもつながるのは間違いないだろう。

 多くの選手が「澤さんの代わりはいない」と口を揃えるなか、新生なでしこは大黒柱不在でもチーム一丸ムードが生まれつつある。