リオ五輪アジア最終予選を兼ねたU―23アジア選手権の決勝(30日、カタール・ドーハ)で韓国を撃破して優勝した手倉森ジャパンが、31日に帰国した。“最弱世代”と呼ばれたイレブンが奮起し、五輪出場権とアジアのタイトルを獲得。決勝で大活躍したFW浅野拓磨(21=広島)は、さらなるステップアップを目指し“リリーフエース”返上を誓った。

 宿敵に2点のリードを許した後半15分にピッチへ送り出された浅野は、同22分に今大会初得点となる追撃弾。MF矢島慎也(22=J2岡山)の同点ゴールで2―2とした同36分にはDFラインを抜け出し、逆転の決勝ゴールを叩き込んだ。

 得点後には「ジャガーポーズ」を披露し、イレブンと喜びを爆発させた。

 今大会は主に“スーパーサブ”で好プレーを見せた。浅野は「今までもゴールを取れなくてチームを苦しめてしまっていたので、大舞台でゴールを決め、チームの勝利に貢献することができてうれしい。(ジャガーポーズは)ファンを待たせていたし、この舞台で出せて本当によかった」。

 決勝では大きな存在感を示したが、活躍の場は手倉森ジャパン、所属のJ1広島ともに後半途中からに限られている。50メートル5秒9のスピードを生かし、疲れの見え始めた相手を切り裂くパターンで得点を量産してきた。

 ただ、先発で安定したパフォーマンスを発揮できるかは未知数だけに、“スーパーサブ”として18人しか登録できない五輪メンバー(今大会は23人)に入れるかは微妙な状況。また、広島には絶対的エースでJリーグ最多記録の157得点を誇る元日本代表FW佐藤寿人(33)が大きな壁として君臨する。エースを追い抜かなければ、ブラジルに乗り込むことはできない。

 そこは浅野も自覚しており「広島に帰って結果を残さないといけない。最初から出たいという気持ちはいつも持っているし、やらなきゃいけない。五輪メンバーに選ばれるようにしたい」ときっぱり。新シーズンには「スタメン奪取」の決意で臨むつもりだ。

 大きな壁を越えれば可能性は広がる。リオ五輪のメンバー入りだけではなく、A代表定着や近い将来の海外移籍も現実的になってくる。若きスピードスターは「海外でやってみたいし、フル代表に選ばれてW杯で結果を残したい気持ちもある」と気持ちを高ぶらせた。