五輪王手!手倉森ジャパン原動力は日本へのこだわり

2016年01月24日 06時00分

【カタール・ドーハ22日(日本時間23日)発=森下久】サッカー男子のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねたU―23アジア選手権準々決勝で日本は延長戦の末、イランを3―0で下して4強入りを果たした。“最弱世代”と言われ続けたチームは、手倉森誠監督(48)が絶妙なタクトを振って、これまで破れなかったベスト8の壁を乗り越えた。今大会3位以内で得られる五輪出場権までついに「マジック1」。名采配の原動力は手倉森流の“大和魂”だ。

 

 

 日本が死闘を制し、6大会連続の五輪出場まであと1勝に迫った。手倉森監督は「ものすごく疲れましたね。だけども勝って心地良い疲れに変わりつつある。持久戦は日本に分が出てくると思って戦っていた。次の試合で(勝って)リオ行きをしっかり決めたい」と興奮気味に語った。イラン戦では指揮官の采配が冴えまくった。


 こう着状態が続く中、後半途中からピッチに送り出したMF豊川雄太(21=J2岡山)が延長前半6分に先制点を叩き出し、同後半にはMF中島翔哉(21=FC東京)が2ゴールを決めた。指揮官は「最初は(豊川が)スタメンの予定だった。それを翔哉に変えた。出し入れした2人が結果を残してくれたということは、良い流れ」と自画自賛した。


 これまで手倉森ジャパンは2014年1月のU―22アジア選手権(オマーン)、同9月のアジア大会(韓国・仁川)とベスト8の壁を越えられずにいた。指揮官はイラン戦を前に「ここで勝つために今までの負けがあった」と自信を示していたが、宣言通りにベスト4に勝ち上がった。


 そんな“ミラクル手腕”はこだわりの結果だ。手倉森監督は「日本人のスタイルを日本人が打ち出していかないといけない」との信念を持っており、世界と勝負するためにこれまで以上に「日本」を意識して和の心を磨いてきた。


 就任後、指揮官が最初に出かけたのは熊野三山の3社1寺(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社、那智山青岸渡寺)だ。協会のシンボル「ヤタガラス」にも縁のある場所で、日本代表やなでしこジャパンが世界大会に臨む前に公式参拝を行ってきた。いわば“日本サッカー界の聖地”だが「まずは日本協会も祈願しているサッカーの神様に手を合わせてきたんです。リオ五輪もそうですが、先を見据えて日本サッカーが良くなるようにって」(手倉森監督)。


 また、指揮官のバイブルは「弘法大使空海の金言をひらく」(セルバ出版)で「普段からオレが言っていることと、空海さんの言葉が似ているし、指導の参考になることが多い」。昨年8月にはイレブンとともに京都の妙心寺で座禅を組んだ。日本古来の修行法で無の境地を体感し、和の精神を鍛え上げた。


 さらに指揮官には“究極のこだわり”がある。「試合前にチームの食事を食べるのですが、パスタとうどんがあれば、うどん。サンドイッチとおにぎりなら、おにぎりを食べます。やはり国際舞台を戦う日本人としては、そこにもこだわります。ささいなことですが、そういうところでも世界と勝負しているんです」


 徹底した姿勢で“大和魂”を磨いた指揮官の采配は、大一番でピタリとはまった。準決勝(26日、相手未定)で勝てば、五輪切符を獲得できる。「信じる者は救われる」ということか。