【リオ五輪アジア最終予選】出したくても出せないジョーカー浅野

2016年01月15日 16時00分

【カタール・ドーハ14日(日本時間15日)発】リオ五輪アジア最終予選を兼ねるU―23アジア選手権を戦っている同日本代表の手倉森誠監督(48)が、FW浅野拓磨(21=広島)の起用法に複雑な悩みを抱えている。1―0で辛勝した13日の初戦・北朝鮮戦では温存。故障や不調が理由ではないが、クラブW杯でも活躍したスピードスターを簡単にピッチに送り出せない事情がある。先を見据える指揮官の思惑とは――。

 

 手倉森監督は、所属の広島で昨季リーグ戦ほぼ途中出場で8得点を挙げた浅野について「途中出場でゴールを量産していてスーパーサブとしての役割が身についている。決定力で彼にかかる期待は大きい」と話しており、U―23代表でも同じような役割を与えている。後半途中からピッチに送り出し、50メートル5秒9の快足を生かして、疲れの見え始めた相手DF陣を切り裂いてゴールを奪うパターンだ。

 

 1点が欲しい場面ではこれ以上ない“ジョーカー”だが、そうした役回りだけに国際大会での使い方は簡単ではない。というのも、1次リーグから活躍してしまうと、決勝トーナメントを勝ち上がってからイラクや韓国などライバル国のマークがきつくなるのは確実。五輪出場圏内の3位以内がかかるとなれば、浅野のスピードを生かせるスペースを消したり、マンマークをつけるなど、あの手この手で長所を消しにくる戦術が目に見えている。

 

 そんな思惑もあって、試合序盤に先制し追加点が奪えなかった北朝鮮戦は、絶好のシチュエーションでありながら出番なし。一度は浅野をピッチに送り出そうとした指揮官は「今後のことを考えて手の内を見せたくなかった」と思いとどまった理由を語ったが、1点を守ってなんとか逃げ切ったからこそ言えた言葉でもある。若きスピードスターに信頼を置いている一方で、起用するタイミングに対してナーバスになっている。

 

 次のタイ戦(16日)は勝てば決勝トーナメント進出が決まる大事な一戦。1点が欲しい状況で、再び手倉森監督が浅野投入を考える場面があってもおかしくはない。だが、格下と思われていたタイはサウジアラビアとの初戦で1―1と引き分けており、侮れない相手。最悪の展開は、温存するかどうかをちゅうちょし、勝ち点を落とすこと。指揮官の決断力が五輪切符獲得の大きなポイントになりそうだ。