【高校サッカー】青森山田(青森)は富山第一(富山)に1―0で競り勝ち、準優勝だった2009年大会以来6大会ぶりのベスト4入りを決めた。チームを引っ張る背番号10のMF神谷優太(18=3年)は一昨年まで東京Vユースに在籍していたが、黒田剛監督(45)を慕って昨年1月に同校へ転入した変わり種だ。

 Jリーグのジュニアユースからユースに上がれない選手も少なくないなか、あえてエリートコースを外れた。原則として、転入後6か月は高体連関係の対外試合に出場できないリスクは承知の上。「高校2年でスランプというか伸び悩んでいたので、青森山田の厳しい環境で何かを変えて成長したかった。ヴェルディには迷惑をかけたけど、プロになりたいという自分の将来のためを思って決断した」と神谷は経緯を説明した。

 サッカーの技術を伸ばすことに主眼を置くユースチームとは異なり、人間教育も重視する「部活」特有の指導方針だけではなく、冬場は雪に閉じ込められる厳しい環境は自身が求めていたものだった。転校当初、同校名物の雪上サッカーを初めて経験したときには全身がつる屈辱も味わったが、「慣れない環境で自分の弱さが出たと思うけど、そういうことがあったからこそ成長できたと思う」。課題だったメンタル強化にもつながった。

 そんな神谷を黒田監督は「うちに足りなかったパーツにスパッとはまった。タイプは違うが、自分で持ち込むうまさやシュート力は、当時の岳より上」と準優勝メンバーのMF柴崎岳(23=鹿島)と比較し、高く評価。卒業後はJ1湘南入りが内定している将来のスター候補は「ここまできたら優勝して自分の選択が間違ってなかったことを証明したい」と力強く語った。