サッカー女子の皇后杯準決勝(23日、等々力)でINAC神戸は仙台に2―0で勝利し、日テレ戦を制した新潟との決勝(27日、等々力)に進出した。なでしこジャパンの大黒柱として活躍し、今季限りで引退するINAC神戸MF澤穂希(37)は無得点ながらフル出場で勝利に貢献。有終の美を飾るまであと1勝となったが、待望の“甘い新婚生活”はしばらくお預けになりそうだという。

 この日、対戦相手となった仙台は夫の辻上裕章氏(39)が運営・広報部長を務めるチーム。得点に絡むことこそなかったが、体を張ったプレーで相手の攻撃をことごとく潰し、10月のなでしこリーグエキサイティングシリーズで2―4と完敗した借りを返した。

“夫婦ダービー”を制した澤は「妻の勝利です。試合後は『おめでとう』と言ってくれた。夫婦でほかのことは譲ることができても、今日の試合(の勝利)は譲れなかった」と満面の笑み。現役最後の試合となる決勝戦へ駒を進め「決勝でゴールへの気持ち? あります! 最後の最後に取っておいたというくらい今、ためているので。結婚してから点を取ってないので、点を取って勝てたら最高だなと思う」と誓いを新たにした。

 最高のフィナーレまであと1勝。澤は目の前の試合に集中しているが、引退後の新婚生活も楽しみにしている。大会後は夫が住む仙台に転居する予定。だが、夫婦で落ち着いた生活ができるのはしばらく先となりそうだ。

 というのも「テレビ出演や取材など、いろいろなオファーが殺到している」(ある在京キー局関係者)ため。澤の“引退特需”は想像以上に大きな広がりを見せている。

 取材はもちろん、お世話になった各界の先輩方との“共演”が企画されている。キング・カズことFW三浦知良(48=J2横浜FC)とのレジェンド対談もセッティング済み。スポーツ界だけではなく、芸能界や政財界関係者など、断れない要請も多いという。

 現役時代に苦しめられた過密日程は、引退後も当面は避けられそうにない。夫婦が待望する2世誕生にはまだ時間がかかりそうだ。