サッカー元日本代表FWでキング・カズこと三浦知良(48=J2横浜FC)が20日、自主トレを行っていたグアムから帰国。なでしこジャパンMF澤穂希(37=INAC神戸)の電撃引退について心境を語った。

「澤さんが自分自身で決めたこと。僕から(言葉を)かけるのは難しい。世界トップレベルでやってきた澤さんにしかわからない重み、プレッシャー、責任があったと思う。お疲れさまとは言いたくない」

 これまで日本サッカー界をけん引してきたカズは、日の丸を背負う代表で“エース”と呼ばれた選手にしか分からない苦悩を知っている。男女の差こそあるものの、女子サッカー界をリードしてきた澤の奮闘は、他の選手には理解できないものがある。それだけに、慎重に言葉を選んだようだ。

 カズがV川崎(現J2東京V)でプレーしていた時代、澤は“妹分”の読売ベレーザに所属していた縁があり、20年来の親交がある。8月に澤が結婚した際には「生まれ変わったら一緒になりましょう」とジョークを交えて100本の赤いバラの花束を贈ったが、澤の「電撃引退」には“同志”として、少なからずショックを受けているようだ。

 カズだけではなく、なでしこジャパンを率いる佐々木則夫監督(57)も困惑を隠せない。「あぜんとした。暖かくなってから、彼女の力を借りようと考えていた」。戦略の見直しと同時に頭を悩ませるのは、澤が背負った10番の後継者問題だ。

 11月のオランダ遠征でも欠番。「どうするんでしょうね。考えてなかった。俺がつけようかな」とけむに巻いたが、来年2月の五輪アジア最終予選まで残された時間は少ない。澤はチームが皇后杯ベスト4進出を決めており、順風満帆な引退ロードを歩んでいるが、サッカー界には様々な形で余波が広がっている。