日本サッカー協会は18日、リオ五輪最終予選を兼ねる来年1月のU―23アジア選手権(カタール)に臨むU―23日本代表メンバー21人を発表した。練習試合や遠征でなかなか結果が出ず、6大会連続の五輪出場へ厳しい見方が広まりつつあるのが現状。選手のアピール不足もさることながら、手倉森誠監督(48)の“迷走”ぶりも不安に拍車をかけている。

 最終登録メンバーには、所属クラブからの出場許可が出たMF南野拓実(20=ザルツブルク)とFW久保裕也(21=ヤングボーイズ)の海外組が選出される一方で、発表は登録枠フルの23人ではなく、2人足りない21人にとどまる異例の形となった。

 手倉森監督はその理由を「まだまだ最後まで悩みたい。前に重心をかけるか、もうちょっと考えようかなと。私にも時間が必要」と説明。カタール入り前の最終調整の場となる沖縄合宿(22~30日)に今回選出外の選手15人(天皇杯出場選手を除く)を呼んで最後のふるいにかけ、30日に追加招集の2人を決める方針だ。

 しかしメンバーの絞り込みが先送りされれば、そのぶん戦術の落とし込みなどチーム全体の詰めの作業が遅れる。指揮官の優柔不断な性格が命取りになりかねない。

 危うさが漂うのは選手起用法だ。今季A代表デビューし、現在開催中のクラブW杯でもゴールを決めるなど注目のFW浅野拓磨(21=広島)について「チーム(広島)で途中出場でゴールを量産していてスーパーサブとしての役割が身についている。決定力で彼にかかる期待は大きい」と明言。広島の森保一監督(47)が苦心の末に確立させた“ジョーカー・浅野”をそのままパクる方針を示した。とはいえ、手倉森ジャパンでは浅野を生かすための戦術や周囲の選手との組み合わせなどを浸透させているわけではなく、付け焼き刃もいいところだ。

 選考メンバーそのものも「?」だ。決定力アップを狙ってセンターFWタイプを4人選出。だが、ケガで長期離脱を繰り返し今季わずか2得点に終わったFW鈴木武蔵(21=水戸)とJ2千葉でまともに出場機会を得られなかったFWオナイウ阿道(20)の起用には「あの2人はちょっとキツイと思うけど…。ハーフ(選手)の可能性に期待しているのかな」と選手を送り込むJクラブ関係者からも疑問の声が上がっている。残り2枠の候補を残しているとはいえ、J1の舞台で実績を残したMF関根貴大(20=浦和)やFW鎌田大地(19=鳥栖)らを現時点で外しているのだから当然の指摘と言えるだろう。

 以前から采配に批判の声が出ている手倉森監督。「気をつけなきゃいけないのは、オレがパニックにならないことだね」と自虐ネタで報道陣の笑いを誘ったが、大舞台で低評価を覆すタクトを振ることができるか。