ハリルジャパンのチーム再編が加速しそうだ。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(63)は、エースFW本田圭佑(29=ACミラン)を来年から1トップで起用する方針を示したが、ポジション転向案は、これだけではない。チーム力を高めるため、代表では本来の力を発揮できていない10番のMF香川真司(26=ドルトムント)を筆頭に、選手の適性に合わせたコンバートを検討中だ。

 ハリルホジッチ監督は、これまで1トップにFW岡崎慎司(29=レスター)やFW武藤嘉紀(23=マインツ)、FW金崎夢生(26=鹿島)を起用してきた。しかし、格下相手のW杯アジア2次予選では思うほどゴールを挙げられず、W杯予選5試合連続ゴール中の本田のコンバートを決断した。

 エースのポジション変更は大きなインパクトをもたらしそうだが、チームの改革は、まだ序章にすぎない。指揮官は「われわれは自分たちのオーガナイズ、やり方を見つけていきたい。どういうふうにプレーをするのか。それを個人的に、組織的にやっていくことで、チームはより良い表現をするようになる」と新たなチームづくりの指針を語っている。

 つまり、既成概念にとらわれず、選手一人ひとりが日本代表で最も力を発揮できる道を模索していくということ。その第1弾が本田の1トップ起用で、今後も主力選手の適性や潜在能力を見いだしていく。

 まずは香川だ。所属のドルトムント(ドイツ)ではトップ下として活躍。ハリルジャパンでも同じ位置を務めているものの、代表では指揮官が期待する働きができず、精彩を欠く試合も多い。そこで守備的MFへの転向が浮上。実際にハビエル・アギーレ監督時代にも検討されたプランで、実戦でのテストも行われた。ところが、同監督は八百長疑惑で退任し、香川のコンバート案も消滅した。今回は現状を打破するべく、チャレンジを求める場面もありそうだ。

 DF内田篤人(27=シャルケ)の故障で手薄な右サイドバックには、クラブで適性を示すMF長谷部誠(31=Eフランクフルト)。攻撃力アップを狙って、左サイドバックのDF長友佑都(29=インテル)をMFに上げるプランも浮上する。ハリルホジッチ監督が「日本で、こんなに能力の高い選手はいない」と絶賛するFW宇佐美貴史(23=G大阪)を左サイドからトップ下にする可能性も出ている。

 ある日本代表OBも「あの監督のことだから本田以外にも、いろいろなこと(コンバート)をやっていくんじゃないか」と予測。来年のアジア最終予選、さらに3年後のロシアW杯を見据えて大胆なチーム強化策が断行されそうだ。